257.アキラ、握る。
深い茂みの濃い森の中をどんどんと進んでいく。馬が通った足跡を獣道を歩いていく。
数分くらい歩いただろうか、ハチの足取りが突然早くなる!!
「ボチュ!! コッチデチュ!! 」
どうやらこれは、馬を見つけた様な感じかなと思いつつ、ハチの後を追っていくと、いました!! この森に不自然にウマが!!
「ボチュ、アレ。」
とハチもそう答える。この馬でどうやら間違いなさそうだ。しかし、その馬はこちらに警戒した様子で、
「クゥイーン!」
と甲高く鳴く。直感が囁くこれは、威嚇音だと。ゆっくり、近づきながらウマを宥める。
「いい子だ・・・。いい子だ・・・。」
そう言いながら、ゆっくりと近づいていく。そうして、至近距離まで近づいて、馬を撫でる。
そうして、手綱を掴み元の飼い主の元へと誘導しようとするが、馬は頑なにその場に留まろうとする。ハンターセンスが感じとる、この馬はガンとしてここを動かないつもりだと。
これどうしようと考える。
どうやら、アレを行うしかないようだ。さぁ、深呼吸して、手綱をしっかり握って、覚悟を決める。
そして、次の瞬間、馬の背中に飛び乗る!!
急に飛び乗られたことにより、馬は驚き、興奮して振り落とそうと身体を激しく揺らす。振り落とされないように、馬にしがみ付く。
馬は身体を上下に激しく揺らし、暴れる。それに必死に喰らいつきながら、しがみつく。
「ヒィーン!! ヒィーン!! 」
そう馬が大きな声で叫ぶ!! それでも、手綱を握り締め落ちない様に踏ん張る!!
馬は依然として、激しく上下に揺らし僕を落そうとする。必死に手綱を握るが、段々と握力がなくなってくる。
ああ、やばい。これまずいかもと思い始める。しかし、もう乗ってしまった以上、落ちるわけにはいかない。
そうして、奮闘すること数十秒間、馬は次第に落ち着きを取り戻す。なんとか、馬を落ちつかせることに成功する。
「ドォーー、ドォーー。」
と言いながら、馬をうまく操る。今度は、ちゃんと歩いてくれる。
その様子を見ていたハチは、
「ボチュ・・・、チュゴイ・・・。」
と感心した様子で見る。
ヘトヘトになりながら、馬の手綱を操りながら、飼い主の元へと戻る。
『ガサッ、ガサッ・・・。』
とひょっこりと老人の目の前に現れる。老人は驚いた様子で、こちらを発見し、
「ぎょぇええええ!! 」
そう言って、驚く。だが、それが自分の乗っていた馬だと気付くと、すっと満面の笑みを浮かべ喜ぶ。
「おおおお!! ありがとうございます!! 」
そう言って、馬に駆け寄ってくる。僕は馬から降り、老人に手綱を渡す。
「今度は、逃げるんじゃないぞ。」
そう馬を撫でながら、離れる。老人は、
「なんとお礼を申したらよいか。本当にありがとうございます!! 私、アンレの街で商人をやっとります。マウリと申します。」
そう言って、何かお礼がしたいと申し出てくるのであった。
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