251.アキラ、糸を織る。

 さてさて、憩いの空間も占領されたことだし、何しようかな。追いだそうかなと考えるが、良心君の独断でその案は否決される。




じゃあ、どうするか考える。考え、考え、寝て、考え。そして、考える。今、衣食住の、衣以外はすべて満足している。




衣をどうにかしないといけない。これはいけない。どうにかしないといけない。そろそろ、着ている服もボロボロになりかけており、恰好が悪い。




それに衣替えの季節になりかけている。蠍の月の中頃、地味に暑い。故に、彼女たちもこうして、涼しいマイハウスに押し掛けてきたというわけだ。




そうして、狭い室内でまゆきの膝枕に横になりながら呟く。




「服、作るか・・・。」




その言葉に、まゆきがピクリと反応する。




「旦那様。服をお作りになりますか? 」




と聞いてくる。その言葉に皆も反応してしまう。皆の視線がうお! 眩しい! 何この期待の眼差し。作らなきゃいけない流れになんかなってる。




「はい、わかった。皆の総意よくわかった。ならば、作ろう!! 」




しょうがないなと思いつつ、服を作る案を練る。そういえば、エルフの村で麻作ってたな。それをちょっと分けてもらえば、この人数ならいけるか。




そう考えて、どうせ作るなら彼女らが、いつでも作れるものを作ろう。そう考え、織り機も作ってしまうと考える。




言うのは、簡単だが作るとなると難しい。チラりと見た記憶を頼りに、まゆきからも意見をもらいながら、その形を想像する。




ホワホワホワ~~ン・・・。ああ、いいぞ、ちょっとずつ想像がついてきたぞ・・・。たしか、こんな感じだったか! そうだ、こんな感じだったぞ。




不思議となぜか、織り機の構造がおぼろげながら想像できる。




「宿主、スキル【職人】による効果でございます。」




と精霊さんが解説する。スキル【職人】超便利。なにはともあれ、織り機が、なんとなくだが、作れそうだ。後の微調整は作った後にしよう。




そうして、なんやかんやで作り始める。まぁ、試作機だし、構造を理解できれば、それで十分だ。




あーでもない、こうでもないと悪戦苦闘しながらも、織り機を製作していく。そうして、作り続けること半日後、出来上がる機織り機試作機一号。命名モノオリキ。




さっそく、持ってきていた麻の糸を使って、服を編んだみる。無言で縦糸と横糸を編んでいく。




これすごい労力がいる作業で、少しの布を作るのに、かなりの時間がかかった。服を作るって大変、そう思いながら織り込んでいくのであった。

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