242.アキラ、筋を考える。

 大きなシカの死体をエルフの村へと運ぶ。村中の人達が集まってきて、そのでかさに喜びの声をあげている。




シカは早速、村の人々の手によって解体されていく。今日は、その肉でお祭りをするようだ。シカ肉は皮を剥がされた後、豪快に丸焼きにされていく。




わぉ、こういう料理法もあるのかと驚かされつつも、そこから漂う香ばしい匂いに鼻が喜ぶ。




『ジュー、ジュー、ジュー。』




と焼かれていくシカ肉に皆の視線が集まっていく。そして、老婆が




「よし、いいだろう。」




という声を合図に、その身がきれいに小分けされていく。ましろちゃんやまゆきは、肩ロース部分をゲットしていた。




一方の僕は、特別に心臓部分をいただく。これは儀式的な意味合いも含まれているのだろうかと少し疑問に思いつつも、それにカブリつく。




「うん! おいしい! 」




その美味な味に思わず、声がでてしまう。




「御口に合い、なによりです。」




と老婆は申す。すると、お肉の食べていたましろちゃんが近づいてきて、




「雷神様、ひとりでこんなでっかいシカ狩ったの?」




そう質問してくる。もちろんさ! と答えると、少女は目を輝かせて、




「やっぱり、雷の矢で倒したんだよね! すごーい、すごーい!! 」




普通の矢で倒したのだが、知らない内に雷の矢で殺したことになっていた。噂怖い・・・。




そう思いなっていると、ましろちゃんが胡坐をかいている腰の上に乗ってくる。




「コラッ! ましろ! 」




とまゆきが少し怒るが、いいよ、いいよ。と宥める。そして、ましろちゃんの幼女特有のほのかに甘い匂いが漂ってくる。




その光景を羨んだのか、まゆきもこちらに向かって、ましろちゃんと同じような体勢を取る。




「だ、旦那様、よろしいでしょうか? 」




とまゆきは恥ずかしそうに聞いてくるが、僕は一言、




「ええんやで!! 」




と快諾する。まゆきからは、女性特有のいい香りが鼻孔をくすぐる。姉妹でこんなに違う匂いがするのかと驚きながら、心臓を食べるのであった。




ロングボウは、威力も十分であり射程も申し分ない。しかし、連射速度の点においてのみ、前の弓より劣るが、まぁこれは習練してカバーするしかない。




そして、何よりも利き腕をものすごく引っ張らなければならないので、少し筋肉痛になりそうだ。これは、腕の筋肉トレーニングが必要そうだなと考え、明日から始めようと思うのであった。

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