232.アキラ、引き受ける。

 いかにも危なそうな橋は渡りなくない。巨体のイノシシなど、今の僕に倒せるであろうか。




しかし、獰猛な大猪は、畑や農村を荒らして回っている。それに村長には借りがある。今返さないで、いつ返せるのか。 




そして、決断する、大猪退治といこうじゃないか!! 




その判断に精霊さんは、一言。




「宿主、立派です。」




そうして、猪退治を決意するのであった。すると、店の店主が僕に家宝の魔術書をくれると申し出てくれる。




「旦那の心意気に、おら、感動した! この魔術書、ぜひとも使ってくれ! 」




と差し出してくれる。しかし、ただでは頂けないので代金は、討伐後にちゃんと払うということで手をうつ。




そうして、僕たちは一旦家へと帰っていくのであった。




 その夜、楽しい楽しい読み聞かせの時間がやってくる。タイトルは、収納の魔術。読み手は、アルテシア、イリス、ミユが交互に行う。




さっそく読み始めるのであった。




「まず、初めにこの魔術には適性があること。そして、その規模は人により異なる。それらを心得た者のみこの術を使用せよ。そして、この術は一子相伝とすること。」




そうして、大層な注意事項の後に、やっと術の使い方が紹介される。




「感じよ。この世とは別の世界を。想像せよ、それを渡る方法を。」




皆、その意味を真剣に考えるが、誰ひとりとして収納の魔術は発現しなかった。




「どういう意味かさっぱりわかんない。」




とイリスがぼやく。他の皆も同じように何も起こらないままであった。




しかし、僕だけはなんとなく意味がわかった。要はパラレルワールドを想像しろってことだよね。




そして、渡る方法とはこの世界に来たような、空間の亀裂ということではないか。要は、●●●●●の●●●●●●●ということかと理解する。




そんな風に考えた瞬間、




「おお、すばらしい想像力だ。そなたに、この術を授けよう。」




と知らない声が聞こえて来る。あ、これはもしやと思う。世に言う新しい魔術を覚えましたイベントかと思い身構える。




次の瞬間、ハンターセンスが警告音を出す。それと同時に、ビビッと身体に電気が走り、




「宿主、新しい魔術を習得します! 」




と精霊さんが反応する。その瞬間、魔術書がひとりでに浮かび上がり、僕の中に向かってくる。思わず、反射的にそれを避けてしまう。




魔術書はまさか、避けられるとは予想していなかったのか、思いっきり壁に激突するのであった。


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