191.アキラ、洞内の奥へ。

 川魚を食べながら、もっと洞窟の奥に行くには、どうしたらいいか考える。




「ガスにも耐性ができたとは言え、まだまだだな。でも、あの洞窟がどこに繋がっているか、確かめておいた方もいいな・・・。」




そう考える。事実、風の通り道を感じたので、どこかに繋がっているはずだ。一応、洞窟がどこに繋がっているか把握しておきたいのだ。




次の日、洞窟の周囲を探索するが、洞窟の入り口らしき場所は見当たらない。相当、長い洞窟なのであろう。一回、中に入ってみて確認するしかないのであろう。




そう思い、洞窟探索の準備を行う。清潔な布を水で濡らし、簡易マスクを作る。そうして、いよいよ洞窟の中へと潜っていく。暗い洞内をハンターセンスを頼りに歩いていく。ここまで、練習していたおかげで、暗い場所でも、ある程度歩けている。




原油の匂いがきつくなるが、前回よりも深く進めている。




『ピュー』




と風を感じ、その方向へと進んでいく。しばらく歩いていくと、二つの分かれ道に立つ。一方はガスの匂いがさらに、強くなっている。もう一方は、新鮮な空気が流れている。




もちろん、その新鮮な空気の方向へと進む。そうして、段々と洞内が明るくなってくる。そうして目の前に広がっていた景色は、斜光で照らされた泉であった。その神秘的な様子に思わず息を飲む。




洞窟の天井が陥没して、地下まで続く大きな穴が出来ていた。どうやら、ここが、別の入り口のようだ。こういう地形は、たしかドリーム的なニアンスだったような気がする。




それは、そうと、どうやってこの天まで続く穴を登ろうか、検討もつかない。這うにしても、途中で力尽きてしまいそうな高さである。




仕方ないので、またガスが蔓延する洞窟内に引き返す、その前に一旦、休憩するのであった。




 そうして、来た道をまた戻っていく。帰り道は少々頭痛がするも、なんとか脱出することに、成功する。まさか、洞窟の先があんな場所に、繋がっているなんて、思いもしなかった。




 そう満足しながら、拠点に戻ってみると、猿のようなモンスターらが、備蓄していた食料を貪っていた。ハチは、ウサギちゃんを守るため、




奴らを威嚇していたが、奴らはお構いなしに食べ続ける。咄嗟に攻撃態勢に入り、電流を流した矢を放つ。一匹に、命中する。




すると、1匹の猿もどきが、こちらに猛突進してくる。それを避けきれずもろに喰らう。




「うぐっ・・・。」




と声が出る。それでも、猿もどきの頭を掴み、ナイフを突き刺す。奴は怯み距離を取る。僕も、なんとか体勢を立て直す。しかし、あの攻撃をもう一度受けたら次はどうなるか、わからない。




ここは、どうにかして、追い払わなければならないと本能が、訴える。なにか追い払えそうなものはないかと、辺りを見渡す。




すると、猿の近くにあった壺に目が行く。その時、閃く! 猿もどきは、突進態勢に入ろうとしている。矢尻の先についた燃える土に電流を流す。




ボォ!と矢の先が燃える。それに突進しようとしていた猿は一瞬怯む。その隙に、壺目掛けて、火矢を放つ。




そして、赤い放物線を描き、その壺の中にスゥーっと入っていく。次の瞬間、壺が大爆発する。そして、破片が辺りに散らばる。それに猿たちは驚き、一目散に逃げていく。




壺の中身は、原油だったのだ! 壺はお釈迦になったが、ハチとウサギちゃんは、軽い切り傷で済んだ。しかし、拠点や荷物は、無傷とはいかなかった・・・。

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