第十三章 隠者
165.アキラ、睨む。
馬を走らせること数日、ついに、ノルディン王国王都ヨルダに到着する。そして、まずはこの都の一番大きなシラ教の教会へと足を進める。
ユダイさんから、デノルに着いたら、そこの司教を頼るように、言われていたのだ。どうやら、司教はユダイさんと親交があったようで、快く快く迎えてくれる。
そして、僕は久しぶりに、屋根のついた場所で、眠りにつくのであった。
次の日、私は司教に自分の素性を明かし、そのことを街中に広めてほしいと告げる。
そうすれば、アクリバートンの注意が、この街や周りに向けられることになる。そして、僕はこれ以上周りの人間に被害が出る前に、郊外の森の中へと身を潜めるのであった。
森に入っていく。白樺の木々が生い茂り、白神村とは違う様子であった。森を捜索している内に、小さな洞窟を見つける。
なかなかの広さがあり、それでいて周りから岩を登った所にあるので、熊などからの外敵から、襲われる心配もない。
ここをキャンプ地にしようと、中を覗くと、一匹の狼が住んでいた。こちらに、気付いたようで、じっとこちらを見つめる。
まずいと思い、こちらもじっと狼を見つめる。どれくらい経っただろうか、お互いに睨み合ったまま動かない状態が長く続く。
目を逸らしたら、負けだとハンターセンスが教えてくれる。この狼には、悪いがここは、僕も住みたいのだ。
そうして、最初に目を逸らしたのは狼の方であった。そうして、のそのそと、僕と一定の距離を保ち、洞窟が出ていく。
その、後ろ姿は哀愁漂う姿であった。その姿を見ていられず、僕は持っていた干し肉をひと切り、狼の目の前に投げる。
その匂いに、気付いた狼は干し肉をさっと口に加えると、どこかへ行ってしまう。
いきなり、来て申し訳ない気持ちになるが、これも生きるためと思い、割り切る。
そうして、洞窟内を掃除して、なんとか清潔度を上げる。いくら、免疫力が高くなったと言っても、対策をしなければ意味はない。
その後、持ってきた食糧を食べ始める。2日分の食料を少しずつ食べ進める。計画的にこの食料を食べる必要がある。
身を隠す必要があるため、街にはできるだけ、帰るわけにはいかない。そのためにも、この森で、獲物を狩り、サバイバル生活をしなければならない。
一日目は、拠点を確保し、掃除して終わっていく。
次の日は、近くの木々を切り倒して、薪を集め、その薪を洞窟へと運ぶ。何往復かしてた頃に、ふと、一休みしていると、
『カサカサ・・・』
と枝が折れる音が聞こえる。条件反射で、すぐに身を屈めて隠れる。枝が折れる音が段々と近づいてくる。そして、
『ピャッ! 』
と聞き覚えのある鳴き声が辺りに木霊するのであった。
「宿主、これは・・・。」
と精霊さんが呟き、
「ああ、あいつだね。」
僕もそれに答えるのであった。
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