155.アキラ、聞こえる。
この人どうしよう。ユラの扱いに困る僕であったが、当初の予定通りこのまま、交渉材料として彼女を利用する方針で決まる。
「でも、どうして、秘密の会合を知ってるんだい?」
と質問を投げかけると、ユラは答える。
「私も、その会合に参加するように言われていたのです。でも、私が連れ去られたことにより、開かれるかどうか怪しいですよ。」
そう言われてみると、確かにそうだ。まぁ、中止になるのが妥当である。
しばらくして、ユダイさんが戻ってくる。
「ウグリナス様から、伝言です。ライト様はこのまま、ユラ殿の監視と警護を続行するようとのことです。」
私は、その言葉に頷く。そのことを告げたユダイさんは、すぐにここから立ち去っていった。
暇になったので、ユラの生い立ちに聞いて、少し質問してみる。
「私の生まれに関しては、あまりよく知らないのですが、義祖父が言うには、私の中には異邦人の血が混じっているとのことなんです。」
その言葉で、アクリバートンがなぜ、この子を養子にしたのか、大体察っする。
「もしかして、子供の頃から、血を頻繁に取られなかった?」
その言葉に、ユラは頷く。
「ええ、あなたの血は特別なのです。と言われて、よく義祖父の目の前で、血を自分で出すように、命令されていましたわ。それで、私は義祖父のことは嫌いになったのです。」
やはり、アクリバートンは真っ黒である。
「君のことを、アクリバートンは全力で取り戻しにやってくる。このまま、返せばいずれ、君も殺される恐れがある。ここで、提案なんだが、一緒にここを離れないか。」
突然の提案に、ユラは驚きはしたものの、少し考えてその提案を受け入れる。早速逃げる準備に取り掛かる。
すると、唐突に精霊さんが、
「宿主、スキル【以心伝心】のレベルが3に上がりました。これで、心が伝わり、わかり合える生物の種類が増えました」
スキルが向上したことを告げてくる。
「精霊さん、レベルが上がったことにより、なにか変った?」
「はい、ヒト以外の小型生物までの鳴き声の意味がわかるようになりました。」
ふと、鳥のさえずりに耳を傾けると、
『ピピピピッピューピ(仲間コーイ)』
と言ってる意味がわかる・・・。ついに、他の種族の言葉を理解し始めた僕であったが、一体どこでこの技を使えばいいのか、今はまだわからなかった。
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