156.アキラ、鳥と話す。

 「ピッピッピッピッ」




と口笛で鳥を呼んでみる。すると、鳥がその口笛に答える。




『ピュピュピュピュ~~ピ(誰だ、お前!!)』




まぁ、そうなるよな。続けて、何十回かやっている内に、段々と会話できるようになってくる。




「ピュピュピュ」




『ピュピュピュ ピピュ~。(こっちに来て、しょがないなぁ~。)』




そう言って、一羽の小鳥が家の隙間から、入り込んでくる。




『ピピピピピイ(ちょっちー、誰もいねぇじゃんかよ)』




「ピュピュピュ」




もう一度、こっちに来て。と口笛を吹いてみると、鳥は僕の方を見て、首を傾げる。




『ピュピピピピュ~~(はぁ、なんでこの人間から、まぁいっか!』




よかった。鳥頭でとホッとすると、鳥が僕の肩にそっと乗る。その光景に、ユラが驚いた様子で、




「あなた、どんな魔術を使ったの!?」




と聞いてくる。




「ちょっとした、。魔術さ。」




僕はそう言って、ドヤ顔で決める。暇なので、ふたりしてその鳥を愛でていた。そうしている内に、鳥の言語を少しずつ理解していく。




「ピュ」




というと、小鳥がすべての行動を、やめて停止する。どうやら、これは停止という意味合いがありそうだ。




 そうして、小鳥と群れている間にも、精霊さんが鳥の言語をラーニングしていてくれていた。




やはり、精霊さんは有能である。ほんの少しだが、鳥の言語もしゃべれるようになってくる。




「ピーピーピー」




と命令を出してみると、鳥が歌い出す。




『ピュピュ~~ピューーピュ、ピピピピ~~~・・・(オゥエェイ、オハンワハハハイ、ハッ、ティキダッハ、ハッティキダッハ・・・)』




これはなかなか便利な音の出るデコイとして、使えそうだなと考える。歌の内容はちょっと意味がわからないが、すごいファンキーなメロディーだった。




ユラはそれを、可愛い鳴き声ですわ。と言いながら、愛でていた。世の中には、知らない方がいいこともあるものだと、実感する。




そのように、鳥の言語を学習しながら、長いこと時間を潰していると、ユダイさんの気配を感じ、僕は屋外に出る。




「ライト様、今、アクリバートンの使者が来まして、ユラ殿のことについて交渉中でございます。どうやら、向こうはユラ殿が生きているという情報をもうすでに掴んでいるようです。」




ユダイさんは、現在の状況を教えてくれる。




「とすると、向こう側はもうすでに、ユラの捜索を行っていると言うわけですね。」




僕は少し予定が早いと焦りながらも、そのことを互いに確かめるのであった。

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