121.アキラ、閃く。
帰路に着く一行、僕は先ほどの撃てなかった自分の行動を振り返る。なぜ、撃てなかったのか、その答えを探す。
ハンターセンスが今まで感じたことのない様な身の危険と、あの異様なオーラに圧倒されて射れなかったことに気付く。しかし、このままあの男を放置しておけば、いずれは脅威になることを感じた。
どうにかして情報を聞き出さなければならないと考えるものの、今の自分では、傷を負わすことも叶わないことを悟る。そんな自責の念に苛まれているアキラを見て、イリスは
「そんなに自分を責めないで、アキラ。あの者は死角から飛んできた矢を剣で切り裂いたという逸話がある男なの、アキラならいけるかと思ったけど。あなたが本能的に、攻撃しなかったのは賢明な判断だと思うわ。」
そう言って慰めてくれる。僕はこの時、自分の敵がどれほどの者たちか理解するのであった。
「飛んできた矢を撃った奴はどれほどの者だったんだ。」
失意の中でこんな疑問が湧き出る。その疑問にイリスは、
「たしか、隣国の皇国一の弓使いだったそうよ。弓を扱うものの中では一番早い矢を放つ者だったそうだけど。」
そう答えるイリス。そうか、その者は普通の矢で挑んで散ったのかとこの時の僕はそう思うのであった。その時、メルトラには今のままで勝てないことを悟る。いや、別の方法でもっと矢の速度を上げなければ勝てない。
必死に考えるが、何も思いつかず城へと戻っていく。弓矢の速度を飛躍的にあげる方法を模索する。行き詰った僕は気分転換に、城内を散策する。すると、大きな壁画を目にする。そこには、ドラゴンが描かれており、火を吹いている様子が描かれていた。
「ほぉ~~、この世界にもドラゴンの伝承があるのか。」
と、関心してその絵を見つめる。そんなに勢いよく火を噴き出して、よく身体が動かないものだと考察する。ふと、あることを閃く。
「火を噴き出して、動く・・・そうだ!!その手があった!!」
急ぎ、イリスの元へと向かう。そして、彼女に聞く。
「臭い匂いのする黄色い鉱石はないか。」
彼女は最初、なんのことかさっぱりという顔をしていたが、近くにいたカルラさんに、そのような鉱石があるかと質問する。すると、
「ええ、あるにはあります。ごく一部ですが、この国でも、そのような鉱石が少量ながら、出回っております。しかし、そんな鉱石をいったい何に使うのですか?」
そして、それを売っている場所を聞き出して、市場へと急ぐのであった。
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