122.アキラ、混ぜる。
市場へと来た僕は、その黄色の臭い匂いのする鉱石を探しに行く。鼻を刺す匂いがしてくる。そして、発見する。そう、硫黄だ。
「これをひとつ。」
売っている店主に注文する。
「ほぉ、あんちゃんこの石がほしいのか。もの好きだね。10リラだ。」
そう店主が言う。10リラを渡す。ついでに、直接触らないように、布を買い、ついでに木炭も買う。その硫黄と木炭を城へと持ち帰る。
「臭い。なんでこんなものを買って来たんですか。」
とテラが心底嫌そうな顔をしてこちらを睨む。
「ちょっと用事があってね。」
と言って、なんとかなだめるが、臭いからと言って、その後、ミユを除いて皆どこかへと行ってしまう。ミユは何かありそうだと直感したのか、目をキラキラと輝かせながら、布で鼻を抑えながらこちらを見ている。
そして、城内のある場所に行く。庭の近くあった便所の場所の土を掘り返す。そして、その土を水に溶かし、出てきた液体に木灰をかけて煮詰めていく、しばらくすると、結晶化したものを確認する。精霊さんは僕の記憶を閲覧して、その用途を理解してくれたようで、
「宿主、あとは木炭だけですね。」
ミユにすり鉢を持ってくるように頼む。持ってきてもらったら、それらを適度な分量で粉々にして混ぜていく。そして、あるものが出来上がる。そう、火薬だ。試しに、少量の火薬を燃やしてみる。
「ボン!!」
と音を立てて爆発する。それを使って箱にそれを詰め込み、矢に括りつけてロケット花火の要領で改造していく。
そして、実験と試行錯誤を城外の広い庭で繰り返す。そして、どれくらい実験をしただろうか、ついに矢に火薬を巻き付けた兵器が完成する。
試しに、的に向かって撃ってみる。まず、導火線に火をつけて、そのまま、矢を放つ。空中で起爆し、矢がものすごい速度で駆ける。そして、的に命中し、貫通して後ろの木に深く刺さる。これなら、メルトラに勝てると確信する。
その後、何本か同じようなものを作る。そして、僕は、メルトラが後日、狩猟をしに城下町の郊外へ行くという情報をイリスから聞き、それが最初で最後のラストチャンスだと思い、その日に向けて作戦を立てる。
後日、数名の従者を従えて、メルトラが郊外へと出発したとの情報を得る。
こちらも、イリス、カルラさんと数名の従者を従えてメルトラが狩りをしている領地へと馬を走らせるのであった。
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