91.アキラ、同伴する。
皆、今日の料理を楽しみに待つ。なんたって、久しぶりの肉であるからだ。まゆきとアルテシアはマウサギを初めて食べてその味に感激している。
「このウサギ、美味でございますわ!!」
アルテシアはそのおいしさを言葉に表し、まゆきは無言で黙々と食べている。炭火でやいたらもっとおいしいんだけどね。
内心でそう思いながら、明日は何をしようかと考えながら、お肉を食べる。まぁ、木を切ることは決定事項として、その後の余った時間は畑仕事の手伝いをすることにした。
その夜は、まゆきが腕に抱きついていた。初めての外での生活でひと肌恋しくなったのだろうと思い、頭を撫でるとうっすらと笑みがこぼれる。
「ゆっくりと、おやすみ。」
そんな言葉が自然と出てくるのであった。そして、僕自身も眠りにつくのであった。
朝、今日も今日とて木を切る。3回目ということもあり、スムーズに切り進める。当初の時間の半分ほどで木を切り倒すことができた。
我ながら、すごい上達である。あとは無駄な枝を切り落とし、それを車輪のように配置して、木を運ぶ。
慣れた手つきで、テラの家の裏に木を放置するのであった。思ったよりも早く運ぶことができ、今日中にもう一本行くことにした。
「モリモリゴー、コリコリゴー。」
と軽快なリズムを取りながら、木を切っていく。
三角形の切り込みを入れ、そして、反対側を切っていき倒す。
何回やっても、倒れる瞬間は緊張するものだ。パキパキパキ・・・バターン!!と倒れた木の枝を切り落とし、エッサホイッサと運んでいった。
そして、ついに支柱の4本揃えることに成功する。だが、これで終わりというわけでもない。
まだあと、数十本、木を切り倒さなければならず、まだまだ先は長いのであった。
家に戻ると、テラがカゴを持って出て行こうとしていた。
「テラ、何しに行くの?」
ふと疑問に思い聞いてみると、
「あ、アキラさん、今から木の実や山菜などを取りに行くんです。よかったら、アキラさんも一緒に行きますか?」
そう言うので、僕もついていくことにした。いつも、こうやってテラは食糧を取りに行ってたのかと納得し、ふたりで森の中へ入っていく。テラはご機嫌なようですごくニコニコして歩いている。
ハンターセンス君が、手を繋げと催促してくる。多分、このテンションで歩いているとこけることを予測しての判断であろう。
「テラ、この手をどうぞ。」
紳士らしく、手を差し出す。
「えぇぇ。そ、それではよろしくお願いします。」
最初は混乱していたが、最終的には承諾してもらい手を繋いでいく。まるで、カップルみたいだなと思いながら歩く。
テラの方は、顔を真っ赤にしながら、嬉しそうに歩いているのであった。
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