66.アキラ、峠を越える。
アルテシアは観察してわかったことは、アキラ様は誰も口をくけていない水に対しては、無反応。
いざ誰かの水が周ってくるとドキドキしながら水を味わっている。そして、アキラ様は飲み残しがある水を誰かに渡した後もチラチラして相手を観察している。
しかし、相手が無反応だった場合、がっくりしていた。つまり、年頃の男女で交わされる水の交換は、恋愛の駆け引きではないと考えられる。
よって、私がとるべき行動は、最初にアキラ様の目の前で水を飲み、それを渡すと飲んでくださるの、その残りの水を私も味わって飲む。
これがどういう意味をするかわからないが、アキラ様が顔を真っ赤にするほどなので恋愛関係だと思われる。
「この行為を続けていけば、私とアキラ様との愛はより深くなるような気がします。」
と何やら意気込んでいるアルテシアを横目にして、なんだなんだと思うアキラであるが、彼も先ほど間接キス如くで舞い上がる張本人であることを忘れてはならない。
馬車を進ませていると、アルテシアが水筒の水を飲む。この時アキラは見逃さなかった。そして、アルテシアがアキラに
「水筒の水いりますか?」
と質問を投げかけられる。即答ではい。ゆっくりじっくり味わって飲んだ。その水筒をアルテシアに返すと、アルテシアはその残った水を一気に飲み干す。
「ああ、もう無いですね。お水いれときますね」
と魔術で水を補給するのであった。アキラの顔は赤く火照って、アルテシアが色っぽく見えたのであった。
アルテシアはそんな彼の表情を見て効果ありと感じた様で上機嫌であった。
それを見ていたイリスも、先ほどの行動の一部始終見ており、大体の目的は把握できてた。
そんな女たちの策略が渦巻いているのを知らず、アキラは馬車を運転して峠を下っていく。
馬とも意思疎通がとれるくらいまでは、上がったような気がする。つらいときの鳴き声や、大丈夫の時の鳴き声も大分聞き分けられるようになってきた。
こちらの声援にも馬が答えてがんばってくれるときもあるので、まさに人馬一体となりつつあった。
「馬ちゃん、あともう少しで峠超えれるからここが、ふんばりどころ。」
と馬にエールを送ると、馬も声を上げてふんばってくれる。
そうこうしている内に、時間は夕方に差しかかり辺りが暗くなってくる。最後の急斜面を超えれば峠は終わりだ。
「慎重に、慎重に。」
と馬と息を合わせて降りて行き、平らな道に入った瞬間、力がどっと抜けていく。峠越え完了したんだという実感が湧いてくる。
もう皆くたくたであったため、少し、脇に馬車を移動させそこで野宿することにした。
僕は緊張からかかなり疲労していたため一人仮眠をとらせてもらうことにした。3人は食事の準備をしたり、焚火の燃料の小枝を集めたりしている。
「皆、ありがとう~~zzzz」
と歯切れ悪く寝てしまったのであった。
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