53.アキラ、執り行う。
「どういうことですか! 結婚って、私、聞いてません!! 婚約は解消されたはずじゃないんですか!! 」
とテラに迫られ、イリスに助け舟を求める視線を送る。
イリスは、やれやれといった表情で、テラを諭す。
「皆の前で婚約者と言ってしまった手前、もう結婚も時間の問題というわけになったのですよ。
それに、女王陛下は、大層アキラのことを気に入ってしまって、度胸のある少年、且つ純粋な異邦人なので、近親者による血の交配を防ぐ意図もあると思います。
私としても、アキラと結婚できて子作りできるのは、多少うれしいですけど。」
と大胆な告白をする。
それに呼応するかのように、テラも
「私もアキラさんと結婚します!! 」
と言う、しかしイリスに
「もう内縁の仲なんですよね。じゃあ必要ないんじゃないの?」
と質問されて、ん?あれ?という表情をしながら、渋々、それにテラも納得する。
僕としてはもう後は野となれ、山となれだ。時間が解決してくることを願うばかりであった。
しばらくの後、従者の者が部屋に現れる、イリスの表情が変わり真面目モードになる。
「嗚呼、もうそんな時間なのね。それでは行きましょうか。」
僕とテラはイリスにどこかへ連れ行れてかれる。部屋に着くと、服を取り替えられ、またあの貴族服っぽいものに着替させられる。
もう、その服やだー! すごい動きにくい!!
同様にテラも別の部屋で服を着替える。しかも魔術で髪色が、白から灰色に変わっているのに気付く。
精霊さんにあれ何?
「どうやら、光を使った幻覚魔術のようです。そのうち、宿主もできるようになるでしょう。」
と分析したようだ。そのうちか・・、早く覚えれるといいなと自分の魔術を集中的に鍛えようと思うのであった。
その後、従者の人についていくと、広い大広間へと通される。そこでは、大臣やら将軍たちがずらりと席についていた。
「えぇ・・・、これ何?」
とイリスに耳打ちする。すると、イリスが嬉しそうに、
「祝賀会ですよ。」
でも、なんでだろう。ハンターセンス君が、そんな雰囲気でないことを感じとっている。
嫌な予感がしつつも、主賓席に案内され座る。そして、大臣らしきものが音頭を取る。
「それでは、アキラ殿とイリス様の末長い幸せと、国家の発展を祈願しまして、これから結婚の儀を執り行います。」
ん?うん!?
イリスを方に顔を向けて、どういうことだ!! とジェスチャーを送る。
対する、イリスは何のことやら、とすっとぼける。こんなに、盛大にブチかませられると、もう反論する気力もなくなるのであった。
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