38.アキラ、旅に出る。
明日の朝、すぐにこの家を出て、西の村長のいる村まで、行く予定になった。なにせ、もう夕方になりかけており、夜の森は危険なので、そう判断した。
とりあえず、早めに寝ることにする。その夜、イリスは緊張状態から解放されたのか、ぐっすり死んだように眠っていた。
早朝、目が覚めるとまだ少し薄暗いが、明けの空が見え始めている。新鮮な空気を吸うため、外に出てみる。すると、テラが朝焼けの空を眺めていた。
「おはよう、テラ。今日も早いね。」
「おはようございます。なんだか、ここから離れると、思ったらなんだか気持が高ぶっちゃいました。」
と上機嫌にテラが語るが、その瞳には不安が少し垣間見えた。
「僕の前では、無理しなくてもいいんだよ。」
その言葉にテラが、心を許して本音を語ってくれる。
「本当は怖いのかもしれません、この土地を離れるのが。
でも、あなたと一緒なら、何も怖くないと思えるのです。
むしろ、新しい土地で、見たこともないものを、見れることに不思議と心が躍っているのです。」
その言葉を聞いて、僕は強くテラを抱きしめる。
テラもぎゅっと僕を抱きしめる。そうして、どれくらい経っただろうか、朝日が昇り始めたのであった。
朝食を食べ終え、一同は近くの村へ出発する。
テラにとっては、初めての遠出だ。不安そうなテラの手を、僕はぎゅっと握りしめる、すると、テラも握り返すのであった。
その様子を見ていたイリスも、もう片方の手を握ってきたので、両手に花状態で先に進むのであった。
村が近づいてくると、テラの表情が少し曇り始める。
だが、今は心許せる人がいるからか、すぐにその表情は期待に変わる。
村に到着すると、宿に向かう。テラと僕は、外で待つことにした。数分後、イリスと従者数名が現れ、そのうちの一人が僕にあいさつする。
「イリス様の従者で、この隊を率いている。カルラと申します。姫様から事情は、聞きました、さぁ、時間はあまりありません。すぐに出立致します。」
そう言って、街道沿いに向かい始める、カルラ隊長に歩きながら、王都までどれくらいなのかと聞いてみる。
「はい、王都までは、陸路と航路を使って向かいます。
まずは、これから待たせている馬車に乗り、港町イーストフローまで向かいます。
そこから王都アルトリスの港までの全日程5日間を予定しています。」
嗚呼、馬車と船乗るのね。酔わないかなと一抹の不安を感じながら、テラの方を見る。テラは
「船・・・初めて乗ります!!楽しみです!アキラさんも楽しみですよね。」
と嬉しそうにしているのであった。
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