個人主観による、ライトノベルの歴史というか変容とは
最初に語っておきます。内容がまとめきれていません。
そもそも、ライトノベルの歴史をまとめるにはかなり労力がいる作業です。あくまで個人主観による過去の振り返りに近い物となっています。そのため、思い込みと無理矢理関連付けている部分もあります。
それでも、自分が長年思っていた考えは素直に書いたつもりではあります。
ご指摘、ご意見があれば、コメントで残していただければ、訂正、参考にしたいと思っております。
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ライトノベル、通称、ラノベ。この言葉、近年作られた言葉ながら、定義付けには不明確なことが多い。そもそも、言葉として「ライトノベル」自体は、1990年初めに出てきた言葉とされるが、その後の移り変わりや言葉の普及から考えても、「ライトノベル」としての概念は2000年前後を刺すべきなのかもしれないと思っている。
同じく近年にできた言葉ながら、その定義付けや成り立ちが不透明な「萌え」もある意味では「ライトノベル」と同じなのかもしれない。
さて、ウィキペディアで「ライトノベル」の項目を見ると面白い記述がある。
それは歴史で年代が分けられていること。ただ、この歴史の中身を見ると単に出版社、レーベルの誕生時期である。ある作品以降といった区分けではない。
それでも、新たな出版社、レーベルが確定したことは、そのジャンルが新たに必要になったためだろう。なら、ここを歴史として考えるには正しいはずだ。
その歴史をそれまとめる、こうである
ラノベの歴史
・1984年以前 明確なレーベルはないが、ソノラマ文庫などあった。
(1983年1月に吸血鬼ハンターD、第1作が発行)
・1988年に、「ドラゴンマガジン」が創刊。
(1989年8月に「角川スニーカー文庫」として正式に創刊)
・1992年に、メディアワークスが設立。
・2002年に、 MF文庫Jが創刊。他の出版社も新レーベル参入。
・2012年に、ヒーロー文庫など、オンライン小説専門レーベルが立ち上げ。
1988年以前は完全にファンタジー小説であり、「ドラゴンマガジン」にしても、TRPGの小説やリプレイを載せていた。
1992年以降ではまだラノベの印象は薄い。メディアワークスが設立時の作家陣も深沢美潮氏や中村うさぎ氏、あかほりさとる氏等という、今の人には馴染みのない作家陣だろうが、当時としても一線で活躍していたファンタジー小説作家である。
(メディアワークスの成り立ちはある種、お家騒動ではあるが、いろいろあって現在に至る。その設立当初に関わっていた、主婦の友社は後に独自のレーベル、ヒーロー文庫を立ち上げることにもなるのだが)
その後も、ファンタジー小説という印象が強いまま続く。それでもゼロ年以前に出てきているのが「ブギーポップは笑わない」。1997年の第4回電撃ゲーム小説大賞だが、発売自体は1998年。その後すぐに、西尾維新氏が影響を受けて、世に出てくるはゼロ年以降の2002年。
結果、2002年以降では新たなレーベルの発刊している。
ここでファンタジー小説は完全に「ライトノベル」に変わったと言っていいだろう。
また、「ブギーポップは笑わない」は後にセカイ系というジャンルにされる。それは新世紀エヴァンゲリオン移行の影響化とされている。
少し話は逸れるが、エヴァンゲリオンはロボットモノでありながら、ただ悪役を倒す話ではない。いわば、ドラゴン、悪の象徴はいない。その代わりが、テレビ版では渚カオルだとすれば、本来のロボットモノのアイデンティティーは消失している。
ただ、セカイ系はラノベでもジャンルではあるが、ラノベの定義を仮にその言葉通り、軽いとした場合、セカイ系の持つ重さは相反する。これはこのあとに語る、内容と含めると、2002年以降から生まれた作品はライトノベルの定義を自ら壊していくことになる。
少し話をマンガにシフトする。近年、「マンガを読めない子供が増えている」ということを耳にする。
筆者がこのことを聞いたのは、BSマンガ夜話という番組でいしかわじゅん氏の発言だった気がする。これは出版業界の現状を語っていたので、業界自体では早い段階でこのこと把握していた状況である。ただ、これがいつの回で言われたかは覚えていない。
ただ、ネット検索での情報やBSマンガ夜話の時期でも2010年以前から言われていたはずである。
確かに近年のマンガは高度化している。まだ、マンガとして分かりやすい部類である、『鋼の錬金術師』にしても物語は重厚で題材も重い。これで分かりやすい部類だから、他の作品では子供には読めない、分からないと言われても不思議ではない。
そもそも、マンガ作品とてこの年代では新世紀エヴァンゲリオンの影響下がある。
その結果が、読者はマンガからラノベにシフトしたと言われている。
しかし、スレイヤーズ、フルメタル・パニック!のような単純明快な作品なら、このシフトは問題はないが、先も述べた通り2002年以降はセカイ系が生まれている。
筆者の話とはなりますが、この年代付近の作品は触れておらず空白期となっています。ただ、私生活の変化で時間がなく、空白期と勘違いもしていましたが、こう改めると作品的にも空白期ではなかったのかと思えてくる。
ただ、この後というかに出てくるのは意外にもまったく別な所、代表作は「けいおん!」(2007年)などの日常系、「萌え4コマ」である。これも2000年代前半に発生した流れである。
これは日常系といわれるだけにセカイ系とはまったくの別物。また、マンガ、ラノベとは別に、4コマ作品から多く出た点も他と違っている。
そして、のちにラノベで出てくるのは「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」(2008年)や「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている」、「僕は友達が少ない」などの残念系ラブコメである。
これでセカイ系は衰退していく。ただ、セカイ系の要素がなくなったわけではない。
ただ、例に出した通り、ラノベではラブコメが多く出てきているが2000年代のラブコメ代表作は少年マンガからはあまり出てきていない気がする。ここ最近ではようやく回復している気がするが。
また、「萌え4コマ」はタイトルが短いのに対し、「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」以降のラノベはタイトルが長くなり、なろう系もそのオンライン小説性質上、宣伝、説明としてタイトルの長さが継承される。
そして、もう一つこの時期でのラノベの転換期がある。
奇しくも、最後になった第10回電撃ゲーム小説の大賞で出てくるのは有川浩氏。後に直木賞候補に挙がるほどの評価を受けることになる。
実際、同じラノベ作家である桜庭一樹氏が、2008年、『私の男』で第138回直木賞を受賞した。
この二人年代は近く、一応、名前では勘違いしがちだが女性である。
2000年前後に出てきたラノベはわずか10年程度の2008年で、文学としても評価されていくようになり、ライト、軽いという色を完全崩壊したといえる。
ただ、その入れ替わりで入ってくるのは「ソードアート・オンライン」(web連載は2002年11月から2008年7月。出版は2009年)であり、2012年以降にはオンライン小説の専門レーベルが出て、なろう系は世に放たれる。
つまり、高度化したマンガの代わりになっていたラノベが、多くの読者によって多様化、高度化することとなった。そのことで更なる代わりとなって出てきたのが、なろう系かもしれない。
また、マンガの話にはなるが、キン肉マンの連載秘話として、ゆでたまご・嶋田隆司先生がこう語っている。
「当時のジャンプはギャグ漫画が弱くて、子供の読者を取り込みたいという編集方針もあったので、キン肉マンはうってつけだったんですよね」
これは編集者側でも語られたエピソードであり、「キン肉マン」(連載は1979年)は元々、ジャンプに投稿したことがきっかけで連載が開始された作品。また、その際の読み切りでもアンケートでもかなりの順位だったそうだ。
つまり、硬派作品が多かった中で「キン肉マン」の読みやすいギャグマンガは編集側も読者にも重要であった。
さて、近年「マンガを読めない子供が増えている」と語ったが、この当時のジャンプでも子供の読者の獲得は重要であったはことを示すことである。
そう、今のなろう系は「キン肉マン」同様、高度化したラノベの入門書と位置づければ、説明がつくのではないだろうか。
今回、例を出して年代の推移を語っただけなので、考察という話ではなかったが、こうまとめることで見えてくる要素は多々あると思います。
あと、流行の推移なので、セカイ系は今も生きているし、ファンタジー小説も生きている。
ひとまず、まとまってないかも知れないが、ファンタジー小説から現在のなろう系のラノベの流れは繋がったので、ここで一旦締めておく。
ただ、歴史を見るとライトノベルは10年で変容しています。2012年に、ヒーロー文庫などのオンライン小説専門レーベルが立ち上げられている。流れからは考えれば、あと数年でなろう系に変わる主流が出てくるだろう。
ただ、数年前の今では、その予兆があるはず。
そう、これに関しては既に提示されている。そう「収益化」である。
これに関しては、自分でも気になるので少しまとめてからお話しできればと思っている。
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