第7話 おかしいな

翌朝。リビングに行くと、お兄ちゃんはもう朝食をとっていた。

「おはよう、朱里」

「おはよう、お兄ちゃん、お義母さん」


 私が起こさなくなるから、お兄ちゃんがちゃんと、起きれるか心配だったけれど、全然大丈夫みたいだ。あれ? でも、自分で起きれるなら、なんで、今までは私が起こしてたんだろう。疑問に思いつつも、お義母さんがご飯をついでくれたので、有り難く頂く。


 今日も、お義母さんのご飯は美味しい。


 ゆっくりと味わって食べている間に、もうお兄ちゃんは食後のコーヒーを飲んでいた。そろそろ、出掛けるのかな?


 そう思ったけれど、今度はお兄ちゃんは新聞を読みだした。その間に、私も朝食を食べ終わった。お皿を洗って、支度をしたあと、玄関をでる。

「いってきます」

「いってきます」


 そろった声にん? と首をかしげると、お兄ちゃんも丁度玄関をでるところだったらしい。たまたまだよね、と思いながら、通学路を歩く。


 「……」


 おかしいな。


 二歩歩いて止まる。そしたら、後ろのお兄ちゃんも二歩歩いて止まった。後ろを振り返るとお兄ちゃんはにこにことしていた。


 「お兄ちゃん!」

「なにかな、朱里」

「登下校は別々にしよう、って言ったじゃない」

お兄ちゃんの方が歩幅が大きいので、私に合わせようと思っていなければ、必然的に、私を抜かすことになるはずだ。でも、お兄ちゃんはぴったり私の後をついてくる。


 「別々じゃないか。朱里の隣に並んでいないし」

確かに、私の隣にはお兄ちゃんはいない。でも、こんなに近かったら、一緒に登校しているのとおんなじだ。


 ……私はお兄ちゃんの邪魔にはなりたくないんだけどなぁ。


 そんなことを考えているうちに、学校についてしまい、結局、今日はお兄ちゃんと登校するはめになってしまったのだった。




 教室に行き、教科書などを準備していると、亮くんがなぜか男子につつかれながら、尋ねてきた。

 「小鳥遊さん、朝会長と一緒にいたけど、付き合ってるの?」

周りを見回すと、皆が私の答えに耳をすませているのがわかった。しまった、見られていたんだ。


 慌てて否定する。

「ち、違うよ! お兄ちゃんなの」

私がそういうと、皆はほっとしたように息をついた。そうだよね、お兄ちゃんはかっこいいし、女子人気も高いから、気になるのはわかる。でも、なんで男子まで安心してるんだろう。お兄ちゃんのファンなのだろうか。


 疑問に思いつつも、彩月ちゃんが丁度やってきたので、ホームルームまでの時間はとても楽しく過ごした。

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