焦がれ、隠恋坊

ウキイヨ

第1話 約束

それは 20年前に起きた 《ある事件》によって悪い魔女の魔法によって

夜しか来ない ある世界の ある小さな魔法が栄えた村の物語。

そこには 毎年 魔女に、青年を一人 生贄に捧げる。

そんな儀式があった。


今年 この村で、成人を迎えるのは、たった《2人》。

性格が明るく喧嘩っ早く誰からも信頼されていた【イリョス】と、

この村で一番魔法を上手く使え 村一番の美人【ルア】。


彼等は 言わば 幼馴染の存在。

そしてお互いは 正反対の存在だった。


イリョスは 戦う為に 魔法ではなく 武術を鍛え

ルアは 守る為に 武術ではなく 魔法を覚えていた。


そして村では、

もうすぐ生贄の日が迫る。

大人達は、今年の生贄について話し合っていた。

誰にするか。恐ろしい魔女は、意気のいい青年程喜ぶ。


となればやはり。成人を迎えた【イリョス】しかいない。

勿論成人男性は、イリョスの他にも、この村には、40人程いるが、

彼等は、恐れていた。

何故なら、魔女は、人の心を操る恐ろしい魔女だから。


子供達は、イリョスの元を尋ねた。

「イリョス兄ちゃん、いけにえってなに??」

「さぁな、馬鹿馬鹿しい大人達の決めた事だから俺には、わかんねぇ」

「じゃぁイリョス兄ちゃんは、大人じゃないの??」

「イリョス兄ちゃんは、まじょがこわくないの??」


イリョスは、困りながらも、沢山の子供達の質問を受け取り、答えていく。

最後の一人の質問に返答しようとした時に、今度は、イリョスの元に、村長が訪ねてくる。


どうやら、話し合いの結果、今年の魔女への生贄にイリョスが選ばれたそうだ。


イリョスは、この村の為、生贄になる事は 嫌だった。

その事を伝えられた瞬間。彼は、話し合いをした大人達を、探し10人病院送りにする程

暴れて、牢屋に閉じ込められてしまっていた。


勿論、その日は、イリョスが、大暴れした事が村中の話題になっていた。

病院送りになった大人達は、イリョスで本当に大丈夫だったのか。

魔女に失礼は、ないかと話し合っていた。


「またイリョスが、暴れたの??」

怪我をした大人達を治癒魔法で、対応していたルアが、話しかけた来たのだ

イリョスは、大人の言う事が大嫌いで、小さい頃から、よく暴れていたが

ルアの前では、大人しくなっていた。


大人達は、ルアに、今回の経緯を全て話した。

しかし、その瞬間。大人達に、寒気が走った。

それは、普段あんなに笑顔で、自分達に接してくれるルアが、

まるで、恐ろしい魔女の様に、自分達を見ているからだ。


「いつもの場所ね。」

一言言うと、ルアは、病院から出て行った。


一方イリョスは、牢屋の中で、怒りは、あれど。

ようやく少し冷静さを取り戻していた。

「暇だな・・・」

イリョスは、怒りの中で、考えた。

どうすれば、ここから脱出出来るのかと、

脱出した所で、自分に何が出来るのだろうかと。

自分の代わりに、誰かが犠牲になるんじゃないかと。


そんな時、なにやら聞き覚えのある声と、警備の男が話している。

そして、自分の目の前にやってきたのは、ルアだった。

それは、儀式から1週間前の事だった。


「また暴れたの?」

ルアは、少し呆れた顔で、そう言った

物心付いた頃には、両親は、亡くなっていたイリョスを

いつも叱ってたのは、ルアだった。

お節介の様でも、イリョスにとっては、唯一心を許せる存在であったが、

それと同時に、少し関わり憎い存在でもあった。


「なんだよ?また俺を叱りに来たのか??」

「あなたは、いつも自分の気にくわない事があれば すぐ喧嘩なのね」

「うっせぇ!」

ルアは、一息ついて、にっこりと一言。

「助けてあげよっか?」

「本当か!?」

余りにもあっさりと来た救いの手に、戸惑いながらも、イリョスも笑顔になってしまった。


しかし次に、ルアの顔を見た時には、深刻な顔に代わっていた。

そして、重い口を開く様に。

「その変わりに 私のお願い聞いてくれる?」

「お願い・・・?」


そして、ルアは、小声で、イリョスに話し出す。

その時間は、約3分程。


「なるほどな。」「どうかな?」

「だが 禁忌なんだろ?」「うん・・・」

「だけど、それで、この村が呪いから解けるなら」

震えた声でルアが、もう一度聞く

「協力してくれるの?」

「わかった!いいぜ!面白そうだしな!」「ありがとう・・・。」


「ちょっと待ってね」

そう言ってルアは、警備の男に、眠りの魔法をかけ、

イリョスが入っている牢屋の扉に魔法陣を描き、牢屋を開ける。


「やっと出れるぜ!!」「しぃー!静かに!」

「悪い悪い・・・しかし意外だな。ルアが、ここまでするなんて。」

「で? どうするんだ?」「・・・それはね。」


それから2人は、ずっと一緒にいた。

正反対だった2人は、いつの間にか意気投合していた。


勿論、この2人の動きは、魔女には、お見通しだった。

そこで魔女は、この世で、一番恐ろしい魔法の呪いを二人にかけました。


それは。


“恋”


その日から、二人は、お互いを想い、そして絶対に手ばなしたくない

存在へと、変わっていきました。

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