硝子の天使

橘 愛瑠

第0話


空が広がり、海が見渡せる、美しい場所。

花束を持って、青年はそこへ向かうため、階段をゆっくり登っていた。


そこは、ある人との約束の場所だった。


頂上に着くと、整備された美しい墓地が広がっていた。



ーーーーなあ、見ているか?

今日は、あの日のような綺麗な青空だ。

堪えて、堪えて、堪えて。

お前は、それでも、この空を、この世界を美しいと言っていた。

お前が笑ってくれさえすれば、俺はそれだけでよかったのに。




一筋の涙が、頬に伝う感覚だけが残った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る