夜神
橘 愛瑠
序章
広々とした緑地公園の奥、月夜の光であたりも見渡せるほど美しい夜だというのに、ただ「そこ」だけが、真っ黒な霧で包まれていた。
そこの前で、少年が一人、立っていた。
ここには、夜にのみ現れる「帰らず橋」というものがあるらしい。その名の通り、渡れば誰も帰ってこない、という都市伝説の橋。その下は崖になっているだとか、殺人鬼が棲んでいるだとか、友人がいない彼にも噂として聞くくらいの有名スポットであった。
だが、実際に「それ」を見たものはいない。
「それ」が、まさに今、自分の目の前にある。
少年は、迷いのない足取りで、どす黒い霧の中へ入っていった。
橋の真ん中辺りに来ると、少年は瞼を閉じた。それと同時に、意識は薄れていった。
再び、その意識が戻らないことを祈りながら。
夜神 橘 愛瑠 @airutachibana
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