高校三年生②

 勉強が捗らなくても、時間は進む。周りの人間は一日に十時間勉強しているのだと圧力をかけられた。戦うのは県内ではなく全国の人なんだ、と。


 夏休み前の二者面談で志望校を聞かれたから、バカ正直に定員割れの私立四大の名前を上げてAOで早く終わらせたい、と言ったら

「この高校に見合った大学を選べ。滑り止めなら良いが、第一志望で目指すところではない」

 と言われた。

 その場では分かった振りをして、立ち去った。仕方が無いので三者面談では私より幾分かランクの高い、進学を諦めていた四大の名前を挙げた。


 先生が満足そうな顔をしたのでひと安心していると

「何時間勉強している?」

 と聞かれた。当時カクヨム甲子園の原稿に現実逃避していた私は

「ゼロです」

 と正直に答えた。誤魔化して答えると親から

「そんなにやってないだろ」

 と野次が飛んでくるからである。


「この時期にまだ勉強してないなんて、進学する気ある?就職するなら応援するけど?」

 と嫌味たっぷりに言われた(実際は親がいたのでもっとマイルド)が、学年集会で「うちの学校は就職するなら全て自力でやってもらうことになります」と言っていたではないか。

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