D.

私が教室の後ろ側のドアを開けると、彼女が頬杖をついて窓の外を見ていた。

西日の当たる放課後の教室で、後ろから3番目の窓際の席に座っている彼女は、何だかとても綺麗に見えた。

長くない黒髪から覗くうなじを、素直に色っぽいと思う。

ガラガラ、とドアを開けた音で、彼女は少しだけこっちを見た。

それから、つまらなさそうに机の上の携帯を少し触って、また窓の外に目を向けた。

先生、待ってんのかな。

不意にそう思う。

彼女はいつも、どんな顔で先生と会っているんだろう。

私が見た事のないような、可愛い笑顔を浮かべたりするのだろうか。

細いラインの引かれた二重まぶたは、先生の前ではどんな風に動くのだろう。

白すぎて逆に目立つセーターが夕日の色に染まっているのを見て、そんな事を思った。

「何?何か用なの」

はっとして彼女を見ると、こちらを向いて怪訝そうな顔をしていた。

私がいつまでも入り口で突っ立っていたから。

「あ、えっと……忘れ物……」

「ふうん」

彼女は、またつまらなさそうに携帯を触ってから、窓のほうを向いた。






((これは直しがいがありそうな予感。取り敢えず季節感!足さなきゃ!あとはちょこちょこ足せばわりと変わりそうな気がするなー))

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