刻むは時を爆弾時限
弐刀堕楽
1
敵にかまっている余裕などなかった。約束の時間がせまっている。ドクターは時間に厳しい。タイムリミットはあと1時間を切っていた。
今回ばかりはぜったいに失敗は許されない。もっとも俺は許されぬ失敗などしたことはないのだが。
「裏だ、裏に回れ!」
背後から
俺は不意打ちで方向
銃声に次ぐ銃声。俺の目の前で、階段のタイルが一枚はじけ飛んだ。
「ちゃんと
捨てゼリフを吐いて階段を登りきる。一気にてっぺんを目指す。
屋上の扉は閉まっている可能性が高い。先を読んで
屋上に出ると太陽がまぶしかった。周りにはどこにも逃げ場がないように思えた――とまあ、少なくとも素人ならそう考えちまうだろうな。だが俺はプロだ。事前にシミュレーションは
背後でバンッと扉が開く音。連中のうちの一人が追いついたようだ。最近の警察はたるんでいると思っていたが意外だったな。なかなか足腰の
扉の前で、年の若い警官が銃をかまえて声を張り上げた。
「動くな! 武器を捨てろ!」
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