普段は少女!?呪いを掛けられた剣聖麗人と共に!!

家ノ犬

エピローグ

 背後の二人の心配をする暇を目の前の男は許はしてくれない。 




 僚太の目の前の男があざ笑う、お前は無力だと、だから助けられないのだと。




 自分の無力さはこんな奴に言われなくても誰より分かっているつもり、ふつふつと、無能じゃない事を思い知らせてやりたい気持ちでいっぱいになる。




「クソガキ、剣を握る意味をわかってないな......邪魔だから、さっさと死ぬかそこから失せろ」




「ここからは死んでも通すつもりはないし、あんたがこの場所から消えるまで俺は何度でもたつっての」




 男の持つ黒い剣の切っ先は僚太の首先にむけられる、息を吸う事すらためらうほどに男の視線は鋭い。




 ここから逃げ出したくなる気持ちを無理やりねじ伏せ笑みを見せ、自分が手にしたボロボロの剣を構えると。






「俺にはハッピーエンドがまってんだから、あんたには退場してもらう」




「さっきからベラベラと、はったりもここまでくると感心するな、なら望み通り、死ね__」




 剣をはじかれ、よろめく僚太は目を瞑って剣の裂く風の流れを頼りに次の斬撃を体感でかわした。




「ふん、まぐれなら笑うが、さては精霊の加護をうけてるのか?」




「加護だか籠だかしらねぇけど、あんたの剣は見切ったぜ」




「ははは、舐めたのは謝ろう、そうかそうかッ__」




 次の瞬間、僚太は脇腹に焼けるような熱さを感じ地面に転がり倒れた、裂かれたのだと分かるのに数秒、その場所を抑えるのだがどす黒い血は止まる事を知らない。






「つッてぇーなクソッタレ!!」




「なんだ、立つんじゃなかったのか? 拍子抜けだな」




 僚太はそれが自分の最後なのだろうかと思う、もっと他に出来たんじゃないのかと後悔の念が押し寄せる。




 意地だ、どうせならこの男の顔を目に焼き付けて死んでやる。




 だが、運はまだ僚太を見捨てていないのだろうか。




「僚太、時間稼ぎありがとうッ__わたしは僚太も二人も絶対死なせはしないからそこで待っててね......」






 意識が遠のいていくなか、現れたその後ろ姿に恋い焦がれていたのだと思うと......僚太は意識を失った。

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