高齢者に席を譲りますか?

ドゥギー

席を譲りますか?

 俺は絶対に席を譲らない。


 横には白髪の女性が立っている。腰は曲がっており、右手で杖をついている。


「次は釜揚高校前、釜揚高校前」


 バスのアナウンスが流れる。次の瞬間、バスが減速すると、老婆がよろめいた。


 周りの乗客が冷たい視線を俺に向ける。胃がキリキリしてきた。


 バスが赤信号で止まる。俺は松葉杖を持って、席を立った。


「どうぞ」


 俺は老婆に席を座るよう手を伸ばした。


「あなた、怪我してるのに。いいわよ」

「大丈夫です。次で降りるので」

「そう?じゃあ、座らせてもらうわ」


 老婆は席に座った。俺は松葉杖を支えに立った。さっきとは感じの違う視線を感じた。


「次は中央病院、中央病院」


 バスのアナウンスがまた流れる。俺は降りるボタンを押した。数分後、バスが停止する。俺は少しよろめいたが、松葉杖のおかげで倒れずに済んだ。


 俺は右足を引きずりながら、バスの運転席に向かう。ポケットの中から財布を取り出した。運転手が声をかける。


「おじいさん、高齢者パスがあれば無料ですよ」

「俺はおじいさんじゃない!『藤田源』だ!」


 俺は声を荒げ、財布から小銭を取り出す。料金箱に小銭を投げ入れ、俺はバスを降りた。松葉杖をついて、病院に向かう。

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高齢者に席を譲りますか? ドゥギー @doggie4020

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