ロバの耳

穴掘りが得意な巨大生物でもいるみたいだ。

ぽっかりと開いた穴から、庭の土が

勢いよく放物線を描いて掃き出されていく。


しばらく眺めていると、ちいさく名前を呼ばれた。

覗き込むと、案の定、スコップを手にした少女たちが穴の底で途方に暮れていた。


「……言っちゃいけないことが多すぎるでしょ」


「ロバの耳みたいに、穴を掘って叫ぼうと思ったの」


「降りてきて持ち上げてよ」


誘うように腕を伸ばす薔薇紅に首を振る。


「自分たちだけ穴から出て、穴に取り残されちゃかなわないからね。梯子はしごを取ってくるよ」


「ばれたわ」


「ばれちゃった」


隙あらば悪戯する機会を伺う少女たちの声が耳に届く。

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