もしこの手の内にナイフがあって


もしこの手の内にナイフが在って

もしこの胸に虚無が渦巻いていたなら

きっと手首を掻っ切っていただろうか


もしこの手の内にんがった鉛筆が在って

もしこの身に居場所を見つけられなかったなら

きっとこの心の臓を突き刺していただろうか



でもこの手は何も握っていなくて

ちゅうばかりを掴んで

悲しくなって

消えたくなって



もしこの手の内に消しゴムが在って

もしも全てを消し去ってくれるなら


きっと僕は、自分を消すだろう。


きっと、この世に何の未練もなく、

安らかに消えるだろう


この身を何処に囚われることもなく、

自然に、流れるままに、


 其れが僕の。

 此れが僕の。


すがたで有ります。

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