第44話 登場! カスケード・シルバーの悪魔!(後編)

 前回のあらすじ。


 なんやかんやで知り合った新顔の悪魔っ娘「カスケード・シルバーの悪魔」ことカーちんをつれて神域に戻ったオレ。


 ところが、どうやらカーちんとガー様は知り合いらしい。ドユコトぉ?





「知り合いなのォ? まじで?」


「いえ、その……以前に」


「ふふーん。この女神のおねーさんはねー。わたいに負けたんだよ! 公式戦で! だからおねーさんはわたいに逆らえない! このモフモフしたおにーさんももらってくよ!」


「ダ――ダメです! それだけは……」


「ダメダメ。おねーさんとわたいの間には力関係が固定されてるんだよ? おねーさんは何度やってもわたいには勝てないんだよー?」


「……マジで? そう言うルールとかあんの?」


 なんかカーちんが凄い勝ち誇っているが、本当なのだろうか?


「……はい。神と悪魔の公式の、ルールのある戦いで決着がつくと、力関係が固定されてしまうのです。それはダイレクトに神と悪魔の勢力図にも影響してしまう……」


 へぇー? そういやガチンコでの戦闘は出来ないとか言ってたっけ。


「そのせいで私はこんな仕事に回されてしまって……左遷です左遷! 私のキャリアは消し飛びました! だから悪魔なんて嫌いなんです!」


 ガー様は涙ながらに語る――が、ちょっと待て! こんな仕事ってなんだよ! 傷つくわ!!


「転生者の相手ってそんなハズレ仕事だったんだ……」


「理由も聞きたいですか?」


 いえ、いいです。よく考えたらそりゃあハズレ仕事だわな。


「でもさー、そのおかげでオレはガー様に会えたんだし。そんなん言われると傷つくわ」


「それは……その、私だってそれは、嬉しいですけど……でもッ! それはそれとして悪魔も嫌いなんです!」 


 ガー様とひそひそ話をしていると、オレのネコスーツをにぎにぎしながらカーちんが現れる。


 気配が無ぇからいろいろ厄介な子だね。


「うふふ。悪魔は神に嫌われるのが大好きだよー。おねーさんがいなくなって、わたいはさびしかったよー。これからちょくちょく来てあげるねー」


 カーちんは何とも意地の悪い顔をしている。まるで虫をもてあそんで殺す子供のような顔である。子供特有の残酷さ!


「そうは――そうはさせません! 汚名は返上して見せます!!」


 若干ビビりつつ、ガー様も意地を見せる。


「うふふ。リベンジマッチ? いいよー。じゃあこのおじさんでいい?」


「ええ。それしかないでしょう」


 オレのこと? 何を始めようっていうのさ?


「前とおんなじだね。わたいがこのヒトを誘惑するから、おねーさんがそれを止められるかどーか」


「誘惑?」


「そだよー。わたいのお仕事は、社会の影から人間さんにお仕事をサボれーって誘惑することなの」


 なんか……思ってたよりも、普通の仕事だな。


 悪魔ちゃんズの「空爆」に比べりゃ、めちゃくちゃ平和的だ。


「つーか、ガー様それに負けたの?」


「その、やりすぎてしまったというか……仕事を頑張らせすぎて逆効果になってしまったと言いますか……」


 何やってんだあんたは!


「そりゃあ……そりゃあそうだろ!! 今の社会情勢だと、仕事サボれないんじゃ逆に死んじゃうって」


 ブラック企業とかが幅効かせてるご時世なんだからさー。


「くすくすくす。お仕事させ過ぎて、人間さんが倒れちゃうなんて、おバカな神様だよねー?」


「違います! あなたが急に誘惑を止めたせいです!」


「勝つためのテクニックだよー。おねーさん、マジメすぎるんだよねー」


「ぐぬぬぬ……」


 なーんとなく事情が飲みこめたわ。ま、今はそれについてはなんも言わんけどさ。


「でもさー、それでオレを誘惑する勝負って勝負になんの? オレ、ガー様の身内じゃん」


 けっこうガチめの身内だぜ? 自分で言うのもなんですか。


「向こうが良いというなら、いいのです! 勝負は成立します! 出来レースでも何でもいいのです!」


 セコイなおい!! まー、みみっちいのは今に始まったことでもねーが。


「話は分かったけど、カーちんはそれでいいの?」


「いいよー。もう始めるねー? 勝敗は、このおにーさんがわたいと一緒に魔界についてきてしまったら、おねーさんの負けー」


 いやだから……勝負にならなくない? オレ、さすがにカーちんについてはいかないと思うんだけど……。


「良いでしょう。私は彼の本来の職務である異世界への転生を実行します。それが成立したら私の勝ちです!」


 ガー様は意気揚々と勝負受けちゃってるけど……なんか怪しくない?


 こんな条件を受けるからにはさぁ? 普通はなんかのたくらみが――――ッ!? 


「じゃあー、勝負かいしー。おにーさん、わたいと一緒に行こ?」


 といって、カーちんはオレのもふっとした手を取って歩き出す。


 当然オレはついてなどいかな――いや、なぜかオレの身体も、それにつられて動き出してしまう。


「なッ!? ――――なにしてるんですか!? 行かないで! 断ってください! どうして!?!?」


 ガー様が混乱したように声を上げる。


 しかし、オレはそれに声を返すことすらできない。


 のだ。


 なにか、見えないものに、身体を押さえつけられているかのような感覚がある。


「な――なにかしていますね!?」


 ガー様もさすがに気付いたらしい。しかし、こういう場合は……。


「なにってなに―? わたいがなにをしてるっていうのー? ほーら? 手も使ってないし、おにーさんから離れても平気だよ? 魔力も使ってないのはわかるよね?」


「…………ッ!」


「わたいが何をしてたんだとしてもー。それが解んないなら無駄だよー。わたいのねー、おねえちゃんが言ってたよぉ。ルールのある戦いではー、イカサマはバレなきゃイカサマじゃないんだってさー」


 ガー様は何も言えずに唇を噛んでいる。このヒト、こーいうのに弱そうだもんなぁ。


 つまりここは、オレが何とかしなきゃだぜ!!


 うおおおおおぉぉぉぉぉッ!!!


「――――ぉぉぉぉぉおおおおおッしゃおらァァァ!!」


 と言う訳で、オレはその、よくわからない、見えもしない拘束から抜け出した。


 やり方は簡単。着ぐるみ状態のネコスーツを、空蝉の術よろしく脱ぎ去っただけだ。


「ふぅ。ずい分と強引な手で来るじゃあないかカーちん。ちょいと燃えてきたぜ?」


 オレは全裸で降り立つ。何とかなったが、二度は使えねー手段だよなコレ。


「何をされていたんですか!?」


 それがオレにもよくわからんのだ。魔法の類いならすぐにわかるんだが、今のは確かに、何かに物理的に押さえつけられていた感覚だった。


「見えない使い魔でも居んのかな?」


「この場所で、それが私に見えないはずが有りません。いかに姿を消せる悪魔と言えども……」


 オレ達が相談する間、カーちんは何も言わずに静かにしていた。


 と言うか、オレの脱ぎ捨てたネコスーツを手に、茫然としている。


「なんで……? モフモフのおじさん……なんで?」


 そして、うわ言のようにつぶやく。


「なんでって、いや脱いだだけなんですか……」


「と言うか、何か着てください」


「そんなヒマはない! カーちんの能力を見極めないと!」


「なんでェェェェェッ!?!? なんで!? モフモフの! モフモフのおじさんが良かったのにぃ!!!!」


 全裸の開放感を愉しんでいると、いきなりカーちんが叫んだ。涙まで流して、鬼のような形相でオレを睨む。


 ……ドユコト?


「だました……よくもだました。もふもふで、ふかふかで、そんなおじさんが、好きだったのに! ………………ッッ!! よくも、よくもよくも、を騙したなぁぁぁぁッ!!!」


「どうやら……オレを獣人か何かだと思ってたらしいな。騙す気なんてなかったのに。てかキレすぎじゃない?」


「悪魔と言うのは所詮あんなものです。安心してください。私はモフモフしてなくても好きですよ♡」


 ねぇ? なんでそんな余裕なの? 見るからにヤバいんだけど。


「大丈夫です。これは公式戦なのですから。――相手に直接攻撃など」


 と言いさした瞬間。ガー様の姿が目の前から消え失せた。


「……ワッツ?」


 吹っ飛ばされたガー様を見てから、オレはそろーりと振り向く。


 一切の表情を失くしたカーちん、いや、カスケード・シルバーの悪魔がこっちを見ている。


 ハハハ。スゲェ怖えー。


「ちょ――ちょちょちょ! 直接攻撃はまずくない!? ねぇ!? 反則負けとか無いの!?」


「別にボクの負けでいいよー。てかもう連れて帰る気ないし。つか、全部ぶっ壊して帰るから、もうどうでもいいや」


 完全に別のキャラになってませんか?


 ヤベェなこれ……マジギレしてるってのもあるが、いまだに何をされたのかが解らねぇってのが致命的だ。


 今だって、ガー様を吹っ飛ばしたのがなんなのかもわからん。


 いくら浮かれポンチでも神は神。普通ならあんな不意打ちはくらうはずねーんだけど。


 ってことは、やっぱりがあるってことだ。それを何とかして見極めねーと……。


「アハ♡ なに? もしかしてさー、何が来るか解れば何とかなる、とか思ってる?」


 すると、カーちんの左斜め後方の辺りに何かがぼんやりと姿を現し始めた。


「見せてあげるよ。解っても無駄だし。――ボクの「肉」はねぇ。何割かがんだよねぇ」


 浮いているようだった。それは虚空に浮かびながら表面をざわざわと、泡だたせるかのように蠢いている。


 ぼんやりと見えるそれは大きな立方体のように見えた。


 それが、細い尻尾か何かのように、カーちん本人の背中の方に繋がっている。


 悪魔だというのに一見して異形な部分の無い、人間みたいな形態だなと思ってたら、尻尾キャラだったのかカーちん!


「見せようと思っても完全には見せられないんだよね。認識できないの。ボク自身の隠ぺい能力はワリと対処可能なんだけど。この「肉」だけはね、誰にも捉えられないんだよ」


 言うや否や、そのぼんやりと宙に浮かぶ立方体が、まるでルービックキューブのようにギャリギャリと形を変える。


 そして、まるでチューリップが花開くみたいにして、大きな口を開けた。


 まるで、某国民的冒険マンガに出てくる人造人間の尻尾みたいに!


「名付けて『身体は密室で出来ているセル・ゲーム』ってところかな。さー、おにーさん。この世から消してあげるよ」


 なんでオレが頑張ってボヤかしたのにバラしちゃうのさ! てかなんでいきなり能力名とか出したの!?


 クソ、ヤベーな。オレ、そう言う名前付きの能力とか用意してないんだけど?


 とか言う間に、大口を開けた尻尾は再び見えなくなる。


 オレは跳び退く。少なくとも、止まってたら確実に食われる! 


 てか、なんでオレは毎度毎度女子に喰われる心配しなきゃならねーんだよ!!


 おじさん。だんだんムカついてきたぞぉ?


「どこ見てんの?」


 と思っていたところで、顔面にキックがめり込んできた、とさ♡

 

 わぁーお! 本体の方が攻撃してきやがったよ。しゃくだが、ナイスチョイスと言わざるを得ない。


「見えないものを探して、見えてる部分を見ないのはアホだよー。おねぇちゃんがいってたよー」


 反撃したかったが、逃げるしか無い。動きを止めれば、あの見えない尻尾が襲ってくるからだ!


 ……アレ? もしかしてホントにヤバイ? これ?


「もうヒントはあげないよー。今度はボクも消えるからねー。せいぜいがんばってー」


 と、言いさしたカーちんを、何かが四方から固定した。


 それはカーチンのそれとは、また別種の見えない枷である。


「おお! ガー様大丈夫?」


 それはガー様の権能「質量をもつホログラム光」通称「月光」である。


 まるで虚空を割り開くようにして、ガー様が姿を現す。ま、そこまで心配はしてなかったけどさ。


「問題ありません。――とにかく、コレで私にかかっていた制約も解けました。勝負はアナタの反則負けです」 

  

 しかし、カーちんは再び尻尾を振るって「月光」を粉砕した。


 あの尻尾はそもそも誰にも「触れられない」みたいだな。つまり本体を止められても、あの尻尾だけは拘束できんということだ。


 厄介すぎる。「月光」の光の中で、再び立方体に戻った尻尾はまた形状を変化させ、今度は巨大な鎌のような姿となった。


「勝負なんてどうでもいいって言ってるじゃん。全部ぶっ壊すって言ったよね? なんで聞いてないの? なんで? なんでなんでなんで? ねぇ、なんで?」


 アカンわ。悪魔ちゃんの時みたいに説得が出来るタイプじゃないなコレ。


「構いません。――一瞬だけ、あの子の注意を引いてください」


「なんか、手があんの?」


「ええ。私にはこの「月光条例ナイト・ウォッチ」とは別に、もう一つの能力が有ります」


「ふむ、なるほど――とか言うと思った?」


 おかしいよな? おい!?


「なんでさも当然みたいに能力バトルみたいな名前付けてんですか!? それっていつからあったの!? ねぇ!?」


「なに言ってるんですか? 最初からありましたよ。というか、アナタなにも用意してないんですか?」


 ねーよ! 完全に不意打ちだよ! 打ち合わせてもしてんのかよオメーらよぉ!! 仲良しか!? だったらイジメだかんなコレェ!! 


「とにかく――お願いしましたよ!」


 言って、ガー様は神器の杖で床面を打つ。


 すると、この神域全体を「月光」が覆い、ガー様の姿は消え、逆に姿を消していたカーちんの姿が補足できるようになる。


「無駄だってー。なんでわかんないの―? なんでなんで? ねぇなんで?」


 「月光」は障害物となってオレを守ってくれるが、例の尻尾は「月光」をすり抜けてオレを狙ってくる。


 オレはそれをぎりぎりで回避した。


「――!?」


 カーちんが驚いたように目を剥いた。


 二撃、三撃、見えない攻撃が来るが、オレはそれを回避する。


 しゃれた名前の能力は用意してないが、オレにはオレの戦闘経験値があるんだぜ。


 オレはカーちんの視線を見て、攻撃ポイントを予測していた訳だ。


 肉体の一部で、長い紐状の武器が、遠心力を伴って迫ってくる。


 そこまでわかれば、回避ぐらいは意外と簡単なんだぜ? 調子に乗って情報を与えすぎたな。


 ま、今んとこ回避しかできねぇけど――問題ない。


「あっそう。いいよ。なら、コッチも範囲攻撃に切り替えるだけ――」


 カーちんもオレが何をしているのかを察したらしく、前傾してしてプリっとお尻を突き出した(どうやらそこから生えてるらしいな)。


 すると、うっすらを見える尻尾がクジャクの羽みたいに展開するがわかった。


 ハハハ! なんだい? それを散弾みたいに全範囲にばら蒔こうって? 


 やめとけやめとけ。だっておじさん死んじゃうよ?


「うああああッ! クソ! オレもなんか名前付きの能力ほしかったぁ!!!」


「――いいえ。間に合いました」


 死期を悟るオレを余所に、そんな声がカーちんの方から聞こえた。


 先ほどから姿を消していたガー様である。しかし、


「間に合ってないよ?」


 カーちんは当然のように、自分のすぐそばに現れたガー様を捕まえた。


「――ッ!」


「ボクの尻尾はどんな形にでもなるんだよ。おねーさんを捕まえる分は残しておいたに決まってるじゃん。――どんだけおバカなのー」


 が、そこで言いさしたカーちんの唇を、両手を拘束されたまま、ガー様の唇が奪った。


「んーーッ!?!?」


 悶絶したカーちんはしりもちをついた。


「やぁぁぁぁん!? ペッ! ペッ! 何すんの!? 変態! 痴女神!!」


「今度こそ、あなたの負けです。あなたはもう何もできません」


 構わず尻尾を振り上げようとしたのだろう。しかし、カーちんは驚いたように周囲を見上げ、立ち上がろうとしては座り込んでを繰り返す。


「私のもう一つの能力『融解犯メルティ・クライム』の効果です。私に唇を奪われた者は肉体そのものが、極限まで柔らかくなってしまいます」


「――ん、んんぐ!」


 なるほど、あの見えない尻尾も肉体の一部なら、これで柔らかくなっちゃってるわけだ。


「――要するに、神様としての能力と、淫魔としての能力が別に在るってこと? チートかよ」


 半ば文句のように言うと、ガー様はオレに対して微笑む。


「そんなに機嫌を悪くしないでください。能力がないからと言ってさげすんだりはしませんから♡」


 ねぇ? なんでそんな上から来るの? 名前付きの能力あると偉いの? 場合によっては根に持つからな?


「…………」


 カーちんはうずくまったまま、オレ達に恨みがましい視線を向けてくる。


「えーっとね、カーちん。いろいろ行き違いはあったと思うんだが、オレは別に敵対がしたいってわけじゃないんだよ。だからね今度本物のモフモフしたのを会わせてあげるから」


「――ッ!」


 要するにまたモフ夫を生贄にして何とかしようとしたのだが、オレが言い終わるよりも先にカーちんは姿を消してしまった。

 クソ! 間に合わなかった。モフ夫なら(毛並みで)何とかしてくれるはずなのに!


「――――んやぁったあああああぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!」


 と、オレがアンニェイに浸っていると、ガー様が猿のごとき奇声を張りあげた。


 何さ、いきなり!


「やった! やりました! 偶然ではありましたが! 汚名返上!! コレで他の神にも顔が立ちます!!」


 ガー様は泣いて喜んでいる――が、オレとしては複雑だ。


「そりゃあよかったけど……もしかして元の仕事に戻るとか言うんじゃ」


 だとすると、どうかと思うぜ? そりゃあ転生者の世話なんてハズレ仕事だろうけど。


 と、苦言をていそうとしたオレにガー様の唇がムチュと押しつけられた。


 すわ! ちょっとやめないか!(いいぞもっとやれ)


「そんなこと言うはずがないでしょう。私一人ではあの悪魔には勝てませんでした。あなたのおかげです♡」


 ガー様は涙まで浮かべて言う。まぁ? そこまで言われたらオレも悪い気は…………って、ちょっと待て。


「なんかオレの手足グニャグニャになってきてんですけど!?」


「失礼。『融解犯メルティ・クライム』の効果が残ったままでした。仕方ないので今日はこのまま――ちょっと休憩しましょう♡」


「ちょっと休憩って何さ!? ちょっと待て! いやな予感する!」


 いや休憩は望むとこだがなぜオレの自由を奪った!? 言え!!


「今日は良き日となりました。私の地元ではこういう時は郷土料理でお祝いをするのです。――付き合って下さい」


「ちょっと待て! 郷土料理って、まさか!」


「フルーツポンチです♡」


「うあああああぁぁぁぁぁッ!!!」


 もちろん、オレにも何をされるのかはよくわからんのだが、どうせまた記憶を消されてとんでもないことをされるのだということはわかっていた。


「何度も私を誘惑するからそうなるのです。スリーアウトで、チェンジです♡」


 何が何にチェンジするんですか? オレが何かにチェンジさせられるってことですか!? 


 なんだよもう、なんでどいつもこいつも普通にできねーんだよぉ!



 



   

 完

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