第10話 物件

 物件に到着し、中へ入りました。


 今確かに懐はギリギリカツカツですが、家賃が安い割に、いい感じの物件です。


 トイレもキッチンもバスもリフォームされていて、白壁で日差しも入り、ベランダには洗濯物も干せます。


 「今すぐここ入りたいんですが。」


 「宜しゅうございますよ。」


 ライオンズパレスに戻り、契約書を書き、今月の家賃も払い、鍵を渡していただきました。


 明日月曜日なので、新家社長にラインで連絡し、午前中に転入届けを市役所に出しに行くことを了承していただきました。


 なんとか、住むところが決まり、落ち着いた感じです。


 帰りしな、とことこ歩いていたら、いかつい黒塗りのGMの車が止まりました。

 車から降りてきた人が、


 「君、どうしたんだい、何か悩みとかあるんだろう。」と尋ねてきたので、


 「いいえ、私自身、どうしていいかわからなくてすいません。」と答えました。


 「何かあったら迷わずに俺んとこに掛けてくれたまえ。」


 渡された名刺には、日本環境保全組合と書いてあります。


 何だかは知れませんが、親切な方で、


 ありがとうございます。 

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