エターナル・グロウ~正しいオンラインゲームの遊び方~
持瑠
第一章
プロローグ
001話 しょせん
「なんか、敵が強すぎる気がするんだけど!!」
俺がドアを開けた瞬間、襲ってきたバグスと言う蜂型のモンスターを投げクナイと言う1本10
喜びも束の間、階段を降りてすぐの廊下を曲がった先でバグスの何倍も強いキラーベアーと言う凶悪なモンスターに鉢合わせして、全力でリビングの方に逃げながら、俺はグロウに叫んでいる。
俺の名前は
走りながら言うことじゃねーけどな。
ちなみにグロウって言うのは、今その辺りをちょろちょろ飛び回っている妖精みたいなヤツの事だ。
「そんなの、あたしに言われたってわかんないわよ!
きゃー!もう、危ないわね!
あたしが引き付けてあげるから、さっさとコイツを倒しなさいよ!!」
攻撃モーションがそれほど早くないとは言っても、キラーベアーが繰り出す爪や牙を、全てかわすのは至難の技だ。
だが、グロウはすべてギリギリまで引き付けて紙一重でかわしている。
ゲーム慣れしている俺の目から見ても中々の動きだ。
ちなみに、ほぼスタート直後に戦えるレベルの敵じゃ無いからな。
俺達がなぜ、こういう状況になっているか、多分、まずはそこから説明しなければならないだろう。
始まりは、今から大体一時間くらい前だったと思う。
―――。
俺は、遊びに来ていた幼なじみのスマホにあるゲームのインストールをしていた。
「ねぇ、これって本当に
しつこいくらいに何度も同じ事を聞いてくるので、俺はかなり減なりしていた。
あ、ちなみに、幼なじみの名前は
多分、この話以降しばらく出て来なくなるから、忘れても別に構わない。
「うるせーな、ただってどういう意味だよ」
俺はイライラしながら答えた。
というか、アプリを選択するとき、選択したアプリをダウンロードするとき、ダウンロードしたアプリを起動するとき、そして、アップデートファイルをダウンロードするときに、4回も同じ事を聞かれれば誰だってうんざりするだろ?
「んー、私にも出来るかってこと!」
正直に言うと、普段全くゲームをしないイノリではちょっとハードルは高いと思う。
でも、俺は強引に薦めていた。
と、言うのも『お友達紹介キャンペーン』のレアアイテムが欲しかったからだ。
多分、普通のレアアイテムになら興味を示さなかったと思う。
だが、『マテリアル』と言われる謎のレアアイテムは、まだ用途も何も決まっていないと書かれていたのだ。
そう言う意味不明なアイテムは俺の大好物!
…という訳で、インストールをしていたのだ。
それが『エターナル・オンライン』、通称
EOと呼ばれていた。
wikiサイトには、β版を経て正式リリースされてから既に1年以上が経ったが、今もなおプレイヤー数を延ばし続けている…と書かれていたりするくらいには、まぁまぁ流行っているアプリだった。
内容としては、よくあるRPGで、剣と魔法の世界に魔王がいて、俺たちが冒険者になってソイツを倒すって感じのものだった。
ただ、オンラインゲームだからか、肝心のラスボスはまだ実装されてなかった。
だが、ついこの間のアップデートで、最初の四天王の【風の守護者】って言うヤツが実装された。
そのお陰で、ゲーム内では少し盛り上がったりしていた。
本当は、種族とか職業とか他にも色々説明した方が良いこともあるんだろうが、とにかく、突然に、その事件は始まった。
インストールゲージが100%になった瞬間、イノリの端末が急激に熱を発し出すと同時に突然激しく輝き出すと、やがて、その光がイノリの端末から飛び出した。
それは一気に、俺の部屋の天井付近までに飛び上がり、それから、しばらくその場で激しく振動したあと、徐々に旋回しながらゆっくりと降りてきた。
輝きを増しながら…。
俺はその眩しさで目が開けていられなくなり、そのまま気を失ってしまうのだった。
イノリのスマホを握りしめたまま…。
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