第2話 なにもしなくて良いじゃない
温かい……、心地いい日差しが全身を包み意識が外へと漏れ出そうになる。風が吹くたびに草が揺れ、さらさらと肌を撫でる。瞼を上げると、日の強い光で頭が痛くなった。段々と時間の感覚が長くなってゆく。ほんの少し横になっただけでも日が一周するほどだった。
「なぁ、何かしないか?」
女を見ると、この前と同じ格好で眠り続けていた。目を開けるわけでもなく、そこにあり続ける姿は白い肌と相まって美しい彫刻の様だった。
「暇じゃないか?」
何故か喉も渇かず、腹も空かない。そんな島の上では退屈だけが難儀だった。雲を見続け、風の動きを感じようと、もはや退屈しのぎにはならない。
女と会話をしたり、何か一緒に出来たらどれだけ楽しいかと考えると、暇が苦痛で仕方なかった。しかし、そう思っているのは俺だけかもしれない。女は、動かず眠り続けているのだから。
「別に何もしなくて良いじゃない。時間は沢山あるんだから……」
「そう……、だな」
確かに、時間は沢山ある。なにも急がなくても良いだろう。二人で出来ることも、もうしかしたらすぐに飽きが来るかもしれない。二人で遊んでいる姿を思い浮かべる。今は、なにもしないということを一緒にやろうと思った。
随分、気長だな。こんな性格だっただろうかと考えたが、思い出すにはあまりにも時間が経ち過ぎていた。
突然、睡魔が襲ってきた。瞼が重くなってゆく。心地よい風の音を子守歌に意識を落とした。
あぁ、明日は何をしようかな……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます