老人の手記

るーといち

§1 ピグマリオン

ピグマリオンコンプレックス....”心”のない人形に対し愛情を持つディスコミュ二ケ

              ーションの1つ




       



             19xx年 in Russia

   ある1人の男が逮捕された 彼の名前はレイス・ハットフィールド

周りの人は彼の逮捕に驚いた なぜなら彼は地域の人から愛されており博士号もある

          そんな彼がなぜ逮捕されたのか?



       時は12月、ロシアでは凍りつくような寒さだ

         そんな中ある老夫婦がレイスを訪ねた

          彼らのうちの一人がドアを叩く

              コンコンコン

   雪が降り、ひと一人もいない無音の世界に木の温かみのある音が響く

            家からレイスが出てきた

      誰が見ても好青年であり、それでありながら知的に見える

     彼は白い暖かい息を吐きながら、なにか呟き老夫婦を招き入れた

         どうやら老夫婦は彼の両親のようだ

 彼らが家に入ると、家から漏れ出た光は消え、辺りはまた無音の世界に戻った



 レイスの家からは楽しそうな談笑が聞こえ、美味しそうな匂いも漂ってくる

           なんとも明るく平和的な場所だ

            こんな時間が続けばよかった

       誰もが羨むくらいに家族団欒で楽しく過ごしている

             あぁ、続けばよかったのに

           だが現実はそううまくはいかない



             ダイニングの電気が消えた

              辺りでは梟が鳴いている

              どうやら就寝の時間だ

            一階の隅の部屋の電気がついた

             老夫婦はそこで寝るようだ

             2階のある部屋の電気がつく

                大きな部屋だ

            パーティーは楽に開けるだろう

        窓からはいたずらな眼をしているレイスが見える

              何をしているのだろう

     壁には6歳~12歳の少女がきるような服がずらりとならんでいる

             そういう趣向があるのか?

      そんなことを考えていると電気が消え別の場所の電気がついた

           先程とは打って変わった小さな部屋だ

           どうやらそこがレイスの自室のようだ


           しばらくして家全ての電気が消えた


                静かな夜だった


        翌朝、無音のはずだった世界が老女の叫び声で壊れた

                 そろそろかな

            俺は重い腰を上げてドアを叩いた

                コン コン コン

               なんとも無機質な音だ

                  ギィぃ

      重々しいドアの開く音と ともにレイスが驚いた顔つきで出てきた

                 そりゃそうだ

          こんな朝から警官がきたら誰でも驚くだろう

驚き強引にドアを閉めようとするレイスを無視して俺は昨日レイスがいた広間に行く


             目的の部屋に着きドアを開けた

      そこにはなんと言っていいのかわからない光景が広がっていた

           死んだ少女の死体が綺麗に並べてあった

                 およそ30体

           ここまではただの猟奇殺人犯と変わらない

    違うのはその全ての少女たちに綺麗におめかしをしていたということだ

             しかも、おめかしだけではない

    高そうなドレスにリボン、帽子や更にはストッキングまで履かされていた

              まるでのように

            その真ん中で老女は立ち尽くしていた

                  部屋は綺麗だ

               どこにも血が飛んでない















     実はこの頃、墓から少女の遺体がなくなるという事件が多発していた
















            結局、レイスは無罪となったらしい

      彼の家からは確かに墓を掘り起こすためのシャベルが出てきた

        しかし裁判を始めるとレイスは気がおかしくなった

        ずっと彼女たちと会話していた などと言っている

             彼が掘り起こした墓の数752基

             家に持ち帰った少女の死体150体

       場所によっては30キロも離れた墓にまで行っていたらしい





         ”天才とは紙一重”とはこのことだ

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