第157話 この二人は‥‥
こちらでは‥‥
「ダグラス!お疲れさまでした!」
「おぉ。ミネルヴァもお疲れさん。」
仲良さげなお二方。
既に互いを呼び捨てで呼び合う仲の様だ、周囲の者はウンザリした表情の者が多い。
彼らは特に関係者枠で人を呼んだりしていないので、イチャつき放題である。
やはり、あの夜何か進展があったのは確実の様だ。
「ルヴァ!」
イチャつく二人に声を掛ける猛者が居た。
「あ、ユピ!お疲れちゃん♪ユピはこの後、日本ツアー行くんでしょ?楽しんでお出でね!」
そう、ユピテルはBINGOの商品で日本ツアーをゲットしていた。
「それなんだけどね。皆とも話したんだけどさ。」
「ん??何かあったの?」
ちょっとニヤニヤしているユピテルの後ろから、クトゥルフとアレスもニヤニヤと近づいてきた。
「今回の日本ツアーはねぇ‥‥」
「??」
ミネルヴァはハテナ?な顔で聞いている。
「ルヴァとダグラスさんに差し上げます!!」
「はい!?」
キョトンとするミネルヴァ。
何を言われたのか良く分かっていない顔であるが、段々と理解が進んで、
「え?ちょっと待って?どういう事?」
「だ~か~ら~!今回の日本ツアーは、ユピテルがダグラスさんとあんたに譲るって言ってんの!」
クトゥルフが補足をする。
まぁ、そのままですが。
「え?え?ウソ?だって日本ツアーだよ?」
「そうだよ!ユピも彼氏が居れば良かったんだけど、今回は幸せそうなルヴァに譲るって!」
アレスも補足を入れる。
何の事は無い、独り者にペアチケットは酷だろ?って話だ。女同士で行くにも残った者が可哀そうと思ったのかは定かでは無い。
「ユピ?良いの?貰って良いの?」
「良いの!二人で日本ツアー、楽しんで来い!」
「ユピ!!アリガト~~♪!!」
ユピテルに思いっ切り抱き着く。
抱き着きながら振り返り、
「あ、でも、ダグラスは?大丈夫なの?」
「ああ、大丈夫だぞ。冒険者はそのへん自由だからな。」
「うん♪‥‥でも、なんで驚かないの?」
ギクッ!
「ん?ああ、驚いてるぞ!」
「ふ~ン‥‥??」
・・・・・
「あ~~!降参。」
こりゃ誤魔化せないと踏んだダグラスは、両手を上げながら正直にバラした。
「実は、事前に聞いてたんだよ。ほら、折角貰っても俺が行けないんじゃ、興ざめだろ?皆ちゃんと考えてくれたんだよ。」
「あ!そっか!そうだよね‥‥」
ミネルヴァは改めて3人に向き直り、
「ユピ!こんな大変な物、貰っちゃって本当にありがとう♪
ルフ!少しお仕事抜けるのは申し訳ありません。許して下さい!
アレス!居ない間のフォローお願いします。
3人とも、ありがとう♪お土産たくさん買ってくるからね!」
ダグラスも横に並んで、
「俺からも、本当にありがとう。」
「ダグラスさん。ちゃんとミネルヴァを幸せにしなさいよね!」
「帰って来ていきなり別れる!なんて言わないでよね!」
「赤ちゃん出来たら直ぐに報告しなさいよ~♪」
まるで新婚旅行に送り出される様である。
テレっテレっと赤くなって話を聞いている二人。
そこへ、乱入者が!!
「ダグラス兄さん!!」
神官のお姉さんがダグラスに飛び付いて来た!
「シェリー!?いきなりどうしたんだ??」
「あのね!あたし聞いたの!あたしやっぱり兄さんのお嫁さんになる!!」
!!!!!
突然の事に硬直するダグラスと魔法少女隊。
「兄さんがあたしを褒めてたって、昔みたいに言ってくれたって、だからもう迷わない。ちょっと時間経っちゃったけど、あの約束は忘れて無いよ!」
「ちょっちょっちょっと待ッて!シェリー?最初から話してみ?全然話が見えないぞ?」
そんな会話の間も、神官さんはダグラスに抱き着いたまんまである。
それを見て、心中穏やかじゃないのはこのお方、ミネルヴァさん。
無言で風魔法発動。
二人の間を突風が吹き抜けた。
突風で二人は離れたがシェリーがよろけたのをダグラスは思わず支えた。
互いに腕を取り合う格好になり、見つめ合う。
「ちょっと!!何してんのよ!」
ミネルヴァも思わず声を荒げてしまう。
二人の間に割って入り、ダグラスの腕を取ってシェリーを睨み付ける。
「神官が白昼堂々と何をやっているの?」
ダグラスの腕に抱き着いたミネルヴァを見て、青筋を立てるシェリー。
「あ"?何を邪魔してるのかしら?」
「は?邪魔なのはあんたでしょ?そんな事も理解出来ないの?」
「あら~、もしかしてヤキモチかしら~?」
「ぷぷっ!突然乱入してきた泥棒猫にヤキモチなんて焼きませんわ。ね~ダグラス!」
「人の事を泥棒猫呼ばわりなんて、オバサンは本当に困っちゃうわね!ねぇダグラス兄さん!」
ダグラスは顔面蒼白で能面のようになっている。
降って湧いた厄災に、どう対処した物か?‥‥こんな修羅場は経験の無いダグラスであった。
「あ"あ"!?誰がオバサンだってぇ?このションベンタレがぁ!?」
「お"お"!?誰がションベンタレじゃ!?」
「やんのか!?ゴラァ!?」
「上等じゃ!?ゴラァ!?」
「待て待て待て待て待て待て!!」
ダグラス再起動。
互いに胸元を掴みあう二人に、取り敢えず場所を変えようと提案をして見る。
「と、取り敢えず場所を変えないか?」
周囲は人だかりとなっており、
「おい、またダグラスだぞ?」
「ダグラス巡って修羅場かよ?」
「何?あいつ二股掛けてたの?」
「独り占めかよ?死ねば良いのに!」
「もしかして両方と結婚の約束してた!?」
「うわ~女の敵よね~!」
「やるだけやって捨てちゃうのね‥‥」
「「「最低!!!」」」
謂れのない事まで言われてる事態に瀕死のダグラス‥‥
そこへ救世主グッチが!
「あ~。お取込み中の所すいません。お部屋を用意しましたので、どうぞ移動なさって下さい。‥‥‥どうぞこちらに。」
お互いに睨み合いながらも素直に移動するミネルヴァとシェリー。
その後ろからダグラスと魔術隊の3人が続く。
更に後ろに野次馬が着いて行くが、部屋からは閉め出された。
当然である。
「じゃあ、お話を聞きましょうか?一応これは白黒決着を付ける話し合いでは無く、互いの意見を聞くだけです。第3者は口出ししませんし、善し悪しも言いません。冷静に話し合われる様にお願いします。」
部屋にはミネルヴァとシェリーが向かい合って座り、間にダグラスが座って逆側にはグッチが座った。
魔術隊の3人は困った顔をしながら、グッチの後ろに離れて座った。
実は、話を聞きつけたトゥミ達も一緒に話を聞きたがったが、彼女たちと真悟人は帰りの転移要員の為に仕事に借り出された。
かなり悔しがってたそうだ。
「絶対!後で話聞かせてよぉ~!」
恋バナ、大好きだそうだ。
でも、これはワイドショー(古い?)な話題ですな。
それはさておき。
互いの話し合いである。
ミネルヴァから主張を開始する。
彼らにまだ歴史は無い。
ただ、最初にバスの中で出会って(ミネルヴァの意識の中では)抱き合ってから運命は決まった!(ミネルヴァがトンネルに驚いて、一方的に抱き着いただけである。)
そして、ホテルの夕飯での乾杯と、互いにお刺身を分け合う仲になった‥‥(物欲しそうにしてたのをダグラスが分け与えただけ?)
そしてついに!ホテル裏でのファーストキスに!!これで二人の運命は確定した!
「そうですか。キスしたんですね。ダグラスさん?」‥‥ニヤニヤ♪
ダグラスは不機嫌そうな顔をしながらも、顔が赤い。‥‥揶揄うのは後にしようか。
ミネルヴァの主張は、既に既成事実がある!と言う事だ。
シェリーの主張は‥‥‥
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