第107話 We Will R○ck You !
本日のメインイベント!
現在のチャンピオン!オークのバークシャー!!
現在3位!下剋上を狙う、オークのセネーゼ!!
なんと!意外な事に、セネーゼが闘鶏に嵌っていた!デュロックは何と?結婚を匂わせていなかったか?
デュロックは特に干渉しないらしい。闘鶏の話をしてもちゃんと聞いてくれるし、思った意見も言ってくれるので、今、とっても充実していると。
そうか。互いに納得して楽しんでいるなら、俺が口出しする事じゃない。
精一杯ガンバレ!と送り出した。
バークシャーの鶏は、完全に軍鶏ですな。
所謂ニワトリらしさが薄れて、戦士の身体付きになっている。
細身で筋肉質、動きも軽そうだ。
それに対して、セネーゼの鶏は‥‥おぉ!
重量級!ムキムキな感じで、見た目は重そうだが、動きは軽そうだ。
ここで、Que_n のWe Will R○ck Youでも流れれば、メチャメチャ盛り上がるだろうなぁと益体も無い事を考えていた。
‥‥待てよ?
スマホの音源で拡声の魔法を使えば流せないか?
直ぐに家からスマホを持ってくる。
まだ、互いの紹介などを行っている、間にあったようだな。
最初は音量を抑えて、段々と大きくしていった。
あの、特徴的な前奏が流れる。
段々と、皆が手を叩き足を踏み鳴らす。
ダンダンチャ!ダンダンチャ!ダンダンチャ!
We Will We Will R○ck You !
異世界で初めて流れた音楽は、Que_n だった!
そうだ!皆に衝撃を与えてくれ!
少し戸惑っていた連中も音楽の渦に飲み込まれていく。
We Will We Will R○ck You !
皆の興奮に充てられて、鶏たちも興奮の度合いを増していくが、氷で冷やされる。
We Will We Will R○ck You !
We Will We Will R○ck You !
皆の興奮が最高潮に達して、試合は開始される。
「カーン」と鳴らされるゴングが寝ぼけて聞こえる。
ここで音楽はフェードアウトして行く‥‥
地鳴りの様な互いの声援と興奮の坩堝になり、2羽の鶏に全員の神経が注がれる。
軽快に飛ぶバークシャー鶏に対して、見極めてカウンターを返すセネーゼ鶏。一進一退の攻防が続き、互いに消耗して傷付いて行く。
血が飛び散り羽根が飛び散り、クライマックスへ!
飛んで大技のバークシャー鶏に、冷静にカウンターを返し、クリティカルヒット!
「xxxx----!!」
バークシャーの叫び!
レフェリーストップとタオル投入は同時だった。
ぐったりと倒れて動かないバークシャー鶏。
直ぐに回復魔法を掛ける。
バークシャーに抱き上げられて、鶏はうっすらと目を開ける。‥‥フッと笑った様な顔をして目を閉じた。‥‥バークシャーの慟哭!
勝負を制したのはセネーゼ鶏だった!
血まみれで立っているのもやっとな感じだったが、回復魔法と冷たいタオルで拭われてる時はもう意識朦朧な感じで気を失ったようだった。
We Are The Championsが静かに流れる。
セネーゼは鶏とともに勝利を称えられる。
少しして、意識も戻り回復魔法で傷も癒すが、精神的な損耗は直ぐに癒えない。
暫く療養生活に入る。
結局、バークシャー鶏は息を引き取ったようだ。
泣き腫らした眼でセネーゼ鶏を称えていた。
彼の漢気をそこに見た気がした。
最後の試合が終わって、勝者の表彰に入る。
賞金は金貨1枚。トリネコさんに渡してもらう。
商品は俺から。それぞれに希望を聞く。
なんと!全員の希望が一致していた。
それは、闘鶏小屋の設置。
やはり、個人で小屋を作って、というのは限界があるので、村として支援して欲しいというのが全員の希望だそうだ。
森の一角に、1小屋当たり高さ20mx奥6mx横5mの小屋を20小屋繋げた闘鶏長屋を2棟作った。
闘鶏だから、他の鶏と会うと闘いになってしまうので、高さ20mで樹に上っても他の鶏と顔を合わせない様に仕切った。本当は天然の樹を入れたかったが、さすがに天然の樹は仕切れないので諦めた。
肝心の小屋割は、今回参加してくれた20人を優先的に入って貰って、残りの20人はどうやって決めようか?相談したら、現状で上位の者から順に入れる様にして、年間順位で入れ替えとする。
皆んなが納得するならそれで良い。
内装や設備は、それぞれで工夫を凝らして好きにしてくれ。
闘鶏を見たトリネコさんはハマった!最初は奥さんのナターシャさんの方が興味を示してたのが、試合を見たトリネコさんは、ドップリとハマる予感。
バークシャーやセネーゼに若鶏の売買や、闘鶏の教えをお願いしていた。
他の闘鶏メンバーからも鶏を譲り受け、4羽の雄鶏と10羽の雌鶏を飼って、増やしながら闘鶏に育てて行くそうだ。
皆んなにジャラジャラと金貨を渡して、俺の所にも雌鶏代金で、金貨を置いて行ったが、トリネコさんはどんだけ金貨を持って来たんだ??
皆んなの金貨は俺が預り、預金通帳を作って渡した。村じゃ使い様が無いからね。
欲しい物が在れば、預金の範囲内で渡せる様にするが、俺じゃ価値がイマイチ分からないので、嫁たちに丸投げである。
牙狼村にもコンビニの様な店を作るべきだな。
これも皆で相談して、追々決めて行こう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
トリネコさん達が街に戻る日が来た。
馬車で来た訳じゃ無いので、帰りも護衛の冒険者と共に徒歩で移動する。
鶏は後日、改めて取りに来るそうだ。
届けようかと言ったら、鶏小屋の準備や周囲への根回しもあるので、その準備が出来次第、取りに来るとの事だ。
交易担当のジョゼットさん達とも、闘鶏はかなりの収益を見込めるとの話で、盛り上がってたらしいから本腰を入れて始めるのだろう。
鶏はどうやって運ぶつもりなのかを聞いたら、人力だって、、、籠を積み重ねて、一人で2〜3羽運べば5人で運べる。
次回来る時は籠も持参すると気合いが入ってたから何も言うまい。
なるべく早くインフラ整備を進めて上げよう。
エルフの里から馬車で来れれば、大分楽になるからね。
しかし最近のメインイベントは、俺がカレンとユナを娶った事の筈だった。
トリネコ一行が来て、闘鶏によって塗り替えられてしまった。
正直言って、いつかどこかで仕返ししようと思う。
アポ無しでやって来て、俺たちの初夜を台無しにした報いは必ず何処かで償わせてやろうと思う。善意だけの人間なんて居る訳が無いんだぞ?無意識の悪意も報復対象です。
……人には言わないし、表立っては行動しないが、気持ちの上で残す物があるんです。君も、あなたも、心当たりは在るんじゃ無いですか??
何処かでフッと思い出して行き馬の無い怒りに身を震わせる事が。
例えば、浮気された怒りなんて消える事は無いでしょう?
言葉では、その場では、許すとしても気持ちでは燻っている‥‥‥
そんなもんだと思うんです。
ほんの些細な切っ掛けで思い出す。自分で残念な奴と、小っちゃい奴と思いながらもコントロール出来ない気持ち‥‥
あぁ、また自分の嫌な部分、小っちゃい部分が顔を出す。
こんな異世界に来ても、俺って変わってないよね。残念なままでガッカリですわ。
嫁さんたちに正直な気持ちを言ったら、引かれるかな?嫌われるかな?
こんな気持ちの時はネガティブです。全てが悪い方へ考えてしまいます。
そんな気持ちを押さえ付けて。
笑顔で送り出す。
戦隊にも森を抜けるまでは護衛を頼む。‥‥‥
俺って偽善者だよね。
そんな思いで見送ってるのに、無事を祈る。
ちゃんと無事に着いてね。元気にまた来てね。ありがとね。またね。
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