第17話 神の食物?

 なんだなんだ?スライムが震えて収縮を繰り返す。更に色もクルクル変わってく!ちょっとすると落ち着いて、なんか一回り大きくなって、色も薄いブルーから、沖縄の海の様な透明感のあるキレイな青になった。


「なんだ?何が起こったんだ?」


「ふ~~~っ‥‥‥」


「スライム?大丈夫か?何が起きた?」


「お前、とんでもないもん食わせてくれたな?」


「えっ?何?スライムにキャラメルって毒だった?」


「あ~~、違う違う!お前が食わせてくれた、キャラメル?それって、神の食いもんか?」


「はっ??どういう事?」


「お前のキャラメルで、更に位階が上がったぞ!?普通のスライムがこの階位に来たのは初じゃねぇか?」


「‥‥‥‥‥‥それっていったい?‥‥‥どうなったんでしょうか?」


「簡単に言えば、生物としてより高度になったって事かな。精神的にも体力的にも、今迄より更に難しい事を考えたり行えたりするって事だ。」


 わーーーーぉ!スライムさん、どうしちゃったんですか?これってヤバいよね?‥‥‥高校いっぱいいっぱいが、突然!東大入っちゃうような頭脳を持った感じかな?


「んで、これからなんだけど‥‥‥」


「ん?あぁ大丈夫だよ。牙猿たちも問題無いと思う。」


「そ、そうなの?大丈夫なら良いけど。」


「気を使わして悪かったね!さっきのキャラメルで万事解決だよ!」


「そ、そうか、なんか問題あったらまた言ってくれよ。」



 =======================



 スライムさんの劇的な変化を目の当たりにして・・・・・嫌な予感を覚える。


「マコト!大変な事がある!」


 ボスが来た!・・・あぁ~~~~やっぱり!!


「な、何が起きた?」


「問題というよりは、大変な変化だ!」


「何が、どう変化したかな?」


 知ってるくせに正直には言えない‥‥‥俺って。


「見た方が早い。‥‥‥おい!」


 小さい牙猿たち5人。‥‥‥音もなく飛んでくる。

 シュタッシュタッシュタッシュタッシュタッ‥‥‥‥

 乱れなく、俺の前に跪いて頭を下げる。


「ボス!お呼びでしょうか?」


「おぉ、マコトに今のお前たちの事を話せ。」


「はっ!マコト様、改めてご挨拶申し上げます。」


「ん。(マ、マコト様?)」


「私たち、レッド以下5名はマコト様のお陰で位階が上がりました。そうしてボスの元、マコト様のお役に立てるようにボスに陳情し、今こうしてお目通り叶っております。是非、お役に立てる様に今後も精進を続けて参ります。御用の際は、是非お声掛けください。」


「わ、分かった。お前たちに頼むときは必ず来る。それまで精進して待つように。」


「はっ!有難きお言葉!今後も精進を続けます。」


「よし。では散開。(レ、レッドってことは、戦隊物の5色‥‥‥だろうな)」


 シュッシュッシュッシュッシュッ‥‥‥


「ボス‥‥‥」


「あぁ。‥‥‥‥‥‥」


「お前も食ってみろ。‥‥‥」


 キャラメルを包み紙を外して渡す。俺も食うから大丈夫だ。

 美味い!久しぶりに食ったキャラメルは本当に美味い!!

 今度は、俺の好みのアーモンドキャラメルも買ってこよう。

 ‥‥ボスは訝しげにキャラメルを見ていたが、俺が食ったのを見て口に入れる。


「グォ‥‥‥‥グ、グ、グ、ガァ‥‥‥グァオォォォォ‥‥‥フゥ~フゥ~フゥ~」


「ボス?大丈夫か??」


 ハッと気付いたボスは、バッと跪き‥‥‥


「はっ!大丈夫であります。醜態をお見せして申し訳ありません‥‥」


「えっ?えぇ~~~?」


 もっと普通に賢くなってくれれば良いのに‥‥‥なんか斜め上に向かうなぁ?


「マコト様!お願いがあります。我等牙猿、マコト様のお役に立つために、全員にこの神の食を分け与える事は出来ますでしょうか?」


「か、神の食?‥‥あ~、やっぱそうなるのか?‥‥分かった。レッド達に言って皆を集めさせて。」


「ははっ!有難き幸せ!」


「でもさ、その、戦国時代に主君に仕えるような態度は止めてくれ!」


「マコト様、我等、牙猿は主君に仕えることを喜びとする種族!どうか、このままお仕えさせて下さい!」


「そ、そうか、少しずつこなれて行ければ良いね。」


 速攻で諦めた!少しずつ、何とか出来るよう頑張ろう!。



 翌日から、


「マコト様!おはようございます!」


「「「「「「「「「「「おはようございます。」」」」」」」」」」


 全員での朝礼が日課となった。



 =========================



 そんな頃、


「トゥミ!今さら行ってなんとするんだ?」


「駄目よ!あたしが行かなきゃいけないの!」


「リンゴを貰うには対価が必要と言われたではないか!今の私たちにその対価は用意できん!」


「そうだけど!リンゴだけじゃないわ!何が必要なんて分からないけど、とにかく行って見なきゃ!」


 真悟人と別れて、籠一杯のリンゴを持ってトゥミは村に帰ってきた。

 今迄は、更に籠に2杯のリンゴがあった。だけど今年は、ババ様の孫が居た。あの凶悪な牙猿を一撃で退けるような、強力な戦闘力を持っているという。この村に、牙猿とタイマン張れるような戦士は居ない。タイマンどころか、一撃で屠る。

 そんな相手に抗う術は持っていなかった。


 トゥミと護衛の二人の話を聞いて、長老たちは思考を重ねた。‥‥‥

 しかし、旨い手立ては思いつかない。

 相手の言う通り、欲しい物には対価を持って来いと。だが、リンゴの対価は高額過ぎる!それだけで村が1年間食いつなげる程である。リンゴだけではない、あの畑で栽培している野菜は他のどこでも栽培していない。更に、苗を持って来て植えても上手く育たない。あの場所だけでしか栽培できなかった。


 これからの季節、野菜はどんどん育つ。秋に向かってリンゴ以上に高額な果実も生るのである。

 どうしても諦められなかった。そこで、もう一度偵察に行こうという話になるのだが、その話を聞きつけたトゥミが自分が行くと言って譲らない。

 ババ様の孫、真悟人はトゥミに心を寄せていると、だから自分が必要だと、護衛で行った二人は、それに関しては口を噤んだ。あのやり取りだけでは判断出来なかったのである。


「だから!私が行けば真悟人とちゃんと話が出来るよ!知らない人が行っても警戒されるだけで、最悪、戦闘になったらどうするの?抗う間もなく首チョンパだよ!‥‥‥」


 誰も言い返せない‥‥‥


「トゥミ。分かった。わしが一緒に行こう。‥‥‥これまでの経緯をちゃんと話して理解を求めよう。話の出来る御仁なんだろ?」


「長老!?‥‥‥代表が出張るなんて‥‥‥」


「きちんと話が出来る者なら誰でも良いだろう。しかし、話が拗れてしまった。

 寝込みを襲おうとしたなんて以ての外だ!代表として誠意と責任もって話しをできる者が他に居るのか?」

「・・・・・・・・・決まりだな。他に後2人、決めて起きなさい。出発は3日後。では、解散!」



「おじいちゃん。‥‥ごめんなさい。」

「なんじゃトゥミ、謝る事なんて無かろう。」


「ううん。そうじゃなくて、私、真悟人に付いて行きたいと思ってるの。」


「なんと!!そこまで考えておったか。」


「長老の孫として、責任あるのは分かってるわ。それでも、付いて行けば一族の為になると思う。」


「そうか、まぁ相手のある事だし、思うように頑張って見なさい。」


「ありがとう♪おじいちゃん。大好きよ♪」


「うんうん。明日からの準備もあるから早く寝なさい。」


「は~~~い!」


 ふぅ。・・・・・ババ様の孫を名乗る人間の男。

 ババ様自身がもう、神かと思っている。

 その孫じゃ決して普通の人間じゃないだろう。

 それに、村の戦士を集めても1頭と戦うのがやっと!そんな牙猿を単独で一撃!‥‥更に群れで攻め込まれても、話をして引かさせた。全然意味が分からん。

 話し通りならトゥミが居れば、いきなり殺されはしないだろう。

 老い先短いこの人生。最後に孫のために頑張って見ようかの!

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