<禱れや謡え、花守よ>九瀬律

くー

九瀬 律

一期設定

九瀬くぜ りつ


「立ち上がりたい。……立ち上がります、遅れてでも」


年齢:18

身長:160cm

武器:短刀<六連むつら

刀霊名:於宇姫おうひめ


一人称:わたし

二人称:あなた

三人称:~さま、~さん


九瀬家の長女(養女)。

幼少時に引き取られ、花守になるべく養育される。

先代当主が霊境崩壊の折に死去したため、幼い現当主に代わって霊魔を祓うことになる。

保管用の白鞘のまま持ち出した短刀は九瀬家の所蔵品だが、代々の家宝は別にある。


歩法で肉薄し斬り込む瞬発回転スピードタイプ。幻術を主として術の心得も多少あるが、突っ込んで斬るほうが得意なので、目くらまし等の補助程度。

九瀬家から支給された霊糸の上着があまり似合っていない。


三人称は花守・刀霊・一般人問わず (姓)さま が基本。希望されれば (名)さま、(姓)さん、(名)さん になる。

現状、呼び捨てているのは刀霊の於宇姫のみ。



『九瀬に入るからには半端は許さぬ。だが九瀬として外に出ることも許さぬ。――おまえはここで朽ちるのだ』


幼少時に霊力の高さを見出されて養子となるが、血統主義の九瀬家ではその血筋を理由に存在をほぼ隠匿されて育つ。

しかし九瀬に入ったのだからと、将来それが生かされる見込みのないままに花守としての技能・戦闘技術に加え、およそ教養と呼べるものを手あたり次第詰め込まれ、その精神にひびを入れることになる。


霊境崩壊以後、九瀬家から花守として出せる者が律だけになったことで、望外に花守として九瀬邸の外へ出る機会を得る。

死んだように生きてきた生をこれ以後、取り戻すことになるが、本人はこれを「幸いと呼ぶには下敷きにした命が多すぎる」と負い目に思っている。


生家には両親祖父母と弟妹が居たはずだが、今どうなっているかは知らない。そもそも場所も家名すらわからない。本人が当時幼すぎて覚えていない上、九瀬に入った時に記録から抹消されている。

なお、死霊の巣窟となった廃墟にて、養子に入る前の友人だった少女と思しき霊魔に遭遇し、祓っている。おそらくはその地域住民ごと、律の血縁者たちも死去したものと思われる。


引き取り先が海洋信仰系なので、瘴気祓いの触媒として多少の塩を携帯し用いる。

瘴気を中和した塩は真水へ変化するため、生体に用いた場合は瘴気の中和と傷口の洗浄を兼ねる。





刀霊名:於宇姫おうひめ


『ご馳走さマ。……呪いきれないからそんなに返ってくるのヨ?』


一人称:あたし

二人称:あなた


白無垢に綿帽子、白打掛を被った女性の姿。ただし首から上はない。腕は三対、それぞれ白打掛を掴み、白鞘の懐刀を握り、顔の位置に紫を帯びた鏡を捧げ持っている。ガラスをすりあわせるような声で話す。


「於宇」とはトリカブトの古名。またの名を狂言に知られる「附子ぶす」、転じて醜女しこめの意もある。


手に持った紫硝子のような短刀を媒介に、触媒に契約した花守を硝子刀で斬ることで、対象の魂を切り分け食う。触媒にされる花守の負担は重く、紫の皹のような傷が身体に走る。出血こそしないが、回復を待たず繰り返せば“割れる”。

対象が於宇姫に映る=視界に居る限りは、まとめて硝子刀の一突きで食うことができるが、不定形の霊魔のように、頭手足胴などの部位がわかり辛いモノは食い辛い。

普通に短刀として律に振るわれ斬った霊魔も食っているが、『自分で斬り分けると格別』とのこと。


成人した花守(二十歳以上)とは契約しない。また、未成年の花守と契約した場合、その花守は成人時に“割れ”、於宇姫に食われて死亡する。

九瀬家はこれを把握していたが、所蔵の刀は他にもあった。誘ったのは於宇姫であり、頷いて契約したのは他ならない律である。


契約当時、律は十。明確な終わりの日を設けなければ、無為が決まっている生に中身ばかりが詰め込まれる日々に耐えられなかった。

以来、日々の中に少しずつ好きなものを取り戻し、学を積み、鍛錬を重ね、時を数え。……あと二年予のはずだった。


律のことは彼女なりに可愛く思っているが、いずれ食肉になる兎へ向ける感情のそれに近い。

上手く生きて欲しいが、だめなら終わったほうが楽だろうと思っている。ことあるごとに自分を使わないかと律を誘うが、これは苦しい生をあわよくば終わらせてやろうという彼女なりの気遣いから。美味しいモノ食べたイ、という自分の食欲も多分に含んでいるが。


9/13の診断以降、霊力を乗せた音波攻撃が可能となっている。霊魔にとっても人間にとっても硝子を思いきり引っ掻く音が大音量で響くに等しい。

直接共振させられる接触状態にない限りは霊魔に対してダメージは与えられないが、怯ませることができる。とにかく不快を与えるので一時的なヘイト稼ぎも可。

瘴気祓いも可能だが、ただでさえそれなりに消耗する霊力が音量に比例していくので、緊急でない限りは儀式的手順をとって祓ったほうが消耗が少ない。





九瀬くぜ


羽柴区で代々花守を輩出してきた家系。海洋信仰。

霊境崩壊において邸は直接の被害を免れたが、当主が殉死し、携えていた家宝の刀も行方不明となっている。




九瀬くぜ 巌斎げんさい


九瀬家前当主。享年三十代。

生前は厳格な人物だった。律にとっては兄弟子にあたる。霊境崩壊の折に刀霊と共に霊魔に堕ちた。刀は太刀<海潮うしお>→反転<緋潮ひしお>。

首を失い切り刻まれて崩壊した体はもはや人体とは呼べず、堕ちた刀霊の力でかろうじて血の塊が人型をとっている。

剣技による近接戦闘に加え、刃先より滴る霊水を斬撃に合わせて飛ばす遠隔攻撃も得意としており、斬撃を下手に回避すれば剣圧の乗ったこれに斬られることとなる。威力は減衰するが、より広範囲に散弾とすることも可。

なお、霊魔に堕ちた後はこの霊水が瘴気を含んだ血弾となっている。




九瀬 龍路たつみち


巌斎の子で九瀬家現当主。年齢一桁。

いわく、健やかに育っており、いずれ立派な花守になられるだろうとのこと。




九瀬 いわお


龍路の後見人で巌斎の叔父。霊境崩壊前に逝去した前々当主の弟。年齢六十代。

隻腕の元花守で右腕を失っており、顔には斜めに傷が走る。頑迷な人物。

代々花守を輩出する九瀬の血を誇っていたが、霊境崩壊後、九瀬家の"花守"と"血"のどちらの誇りをとるかを天秤にかけ、花守をとった。

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