株式会社 山田
Dogs Fighter
第1話 バイト申し込み
主人公:今田京子。女子大生。簿記の知識あり。他ごく普通。
社長:山田太郎。七三眼鏡。口調丁寧。色白。他不明。
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私は普通の女子大生。
学費と安アパート代は親に出してもらって、食費他は自分でバイトして作らないといけない勤労学生。
ケイタイで近所のバイトを探してたら、勤務時間も融通が利きそうで時給も良いのがあった。
簿記の知識のある人希望とのこと。
高校で簿記の資格は取ってるので行けるだろうという事で応募。
ついてみたら募集記事に書かれてるオフィスが入ってるとは思えない、小さくて薄汚れたビルがあるだけ。
帰ろうかと思ったが、もう電話してるからそうもいかないかと階段を上がって二階へ。
ドアの向こうで足音がするので、ノックしてみる。
「いまいきます」パタパタと小走りに来る音がする。
「バイトの人?」顔を出したのは30ぐらいの色白メガネ七三分けにスーツ。
良くも悪くも普通の人っぽい。
中にどうぞというので、入ったものの、正面には社長のものと思われる無駄に立派な黒い木の机がある。
その向こうはガラス窓だがほとんど隣のビルの壁、部屋の左にはよく見る普通の灰色の事務机とノートパソコン。
右に接客用ソファーセットとテーブル。右に更に部屋があるようで、ドアの上には資料室と書いてある。
昼でも蛍光灯の光が無ければ書類もまともに読めなさそうな感じだ。
バイト募集の写真ではずらっと机が並んで、人もいっぱいいたんだけど。
言いたいことが分かったのか。
社長は当然のように
「募集の写真はフリー素材だが、条件は書いてる通り、それ以上だから大丈夫」
そんなことを言いながら部屋を歩き回り説明する。
これはまずい所に来たのかもしれない。淡々とした説明が続く。
やはり左の机が私の仕事場になるらしい。入ってきたお金、出たお金を通帳や領収書を見ながらパソコンに打ち込めばいいみたい。
バイトについては、時給はよいし、仕事は帳簿の作成管理。時間内に終わったら、帰ってもよし、時間いっぱいいても良い。どっちにしろ一日分のバイト代は払われるし、最後までいたら途中まで送ってくれるそうで、個人経営特有の融通の利くところ、これは悪くないんじゃないかと思い始めてた。この時点では。
社長の説明を聞きながら仕事を開始する。
経営関係の顧問料や相談料というのが多いので、いわゆる経営コンサルタントなのだと思った。
「社長、経営コンサルタントの会社なんですねここ?」
「経営相談もやってるよ~」
社長は活舌はいいのだが、気が抜けてると語尾が伸びる傾向があるみたい。
今まで一人で全部やってたのか、大変だったろうな。
そんなことを思ったら、犬の散歩やら、猫探しの領収書もつづいて出てくる、医療相談や法律相談もあったり、なんだこれは。。社員他にいないんだよなここ?
これは、へたに知ってるとなんかあったときに一緒に捕まりかねないやつなのでは?
これはそういうものだと思っておこう。特に気が付かなかったことにする。気にはなるが。気にしない。
ただの女子大生なんで、変なことに巻き込まれて退学とか絶対に無理。
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