第662話 把握したいタイプ
パスツールに食器一式を頼みにいったり、島に行ったり、他の領地を見に行ったり。細々とした用事をしながら数日過ごす。
島は密入国しようとしたヤツをアウロとキールが(以下略)とかあったようだが、平和。
飛び地のトマトも完全に軌道に乗っていて、元の領主との関係もいい。最初に作物を作るためマリナに借りてた土地では領主と揉めたからな。
旱魃の影響も緩やかになり、他の野菜も作り始めた。1つの野菜だけに偏ってると、疫病とかあったら全滅もあり得るし。
土地にあってるし、トマトが中心なのは変わらないんだけど。すでにブランド確立してるしね! 基本瓶詰めとかドライトマトだけど、ナルアディードにフレッシュなトマトを売りにしてる店もあるし。
アミジンとの交流もうまく行っている。
これは彼らの女神が俺の側にいるんで悪くなりようがないんだけど。なんか俺まで信仰の対象にされそうな勢い。
広いし高低差があるしで色々作ってもらってる。アミジンの中でも定住して農墾をしたい人たちはうちの土地にも受け入れ――女神の側ってことで大変人気――て、牧畜をしながら旅をしたい人たちとは定期的に交易してる。
葡萄とか茄子とかコーヒーとかいい具合だ。小さな精霊たちどころか女神の影響バリバリだしね!!!
『青の精霊島』とはまた違った特色をもった精霊の土地になりそうな具合。繁栄していた頃のアミジンの色が濃くなりそうではあるけど、そのままでもない。俺の影響も新しく居着いた精霊の影響も少なくない。
さて、俺でさえ色々やることがあるんだから、他のみんなはもっと。特にハウロン忙しそう、過労死しないよね?
おかげで色々追求はされてません!
で、砂漠の国に手伝いいきました。いっそ色々追求されるなら、カヌムじゃなくてここで! お叱りいただく人は少ないほうがいいという下心があります!
でもハウロンより心配な人物がいた。
「カーン、大丈夫か? 何か動きづらいとか心身に不調がある?」
なんかカーンは王座にいて動かざること山の如し。
カヌムでも暖炉のそばに座ってあんまり動かない時があったけど、寒いからかと思ってた。でも今はかんかん照りの砂漠の昼間、暑すぎる午後の昼寝タイムを過ぎたばかり。
ハウロンが倍忙しいのもカーンが動けずにいるからだ。俺には安定してるように見えるけど、半精霊のような状態で何かあるのかもしれない。
「……特に不調はない。少々手間取っているだけだ」
カーンが片肘をつき、顔にやった指の側の目を開いて俺を見る。
何だか俺に文句を言われているような? 何に手間取ってるって?
「わはは、ご主人! またどっか行って、何か引っ掛けてきたろう? どっときたぞ!」
エクス棒が背中で笑い出す。
「引っ掛けて?」
腰の後ろにつけた専用フォルスターからエクス棒を引き抜きながら聞く。
「おっきな精霊も含めてたくさん引っ掛けてきたろ?」
「ああ、南の海の精霊たちか」
あれ、ニュアンス違うな?
青い海、白い砂浜、椰子の木はなかったぞ、南海。「の」が入るか入らないかでえらい違いだ。
「俺はざくり把握するだけだけど、ご主人のもう一本の『王の枝』は真面目だなあ」
「知らぬモノを眷属としているのは気分が悪い」
笑うエクス棒にカーンが答える。
「眷属、そうか二人の眷属になるんだな」
「そそ。強いヤツとか人間に近い意思を持って個になってるヤツとか『王の枝』の眷属にならないのもいるし、どっちもご主人が一番上だけど。――俺が間に入ると意思疎通がうまくいくし、そっちの旦那が入れば精霊たちが少し規則正しくなるな」
エクス棒が笑う。
「どんな分け方なんだ?」
「基本は黒いヤツは旦那、眷属にはできるけど黒いヤツはあんま俺と相性よくないからな! 黒いヤツにご主人の願いをふんわり叶えられちゃったら困るだろ?」
エクス棒が言う。
確かに俺が「あれ嫌だな〜」とか思ったら、いきなりそれを排除しそう。黒精霊にも多少規則性を持たせたほうが扱いやすいというか、どんなものか理解しやすくなって対応しやすいかもしれない。
「なるほど?」
「ま、黒いヤツを旦那が取り込んだら、同じ分だけ白いヤツもお願いしてるかな。バランスってヤツだ!」
わははと笑うエクス棒。
あー。『滅びの国』の黒精霊と、南海の精霊とカーンにいってて、眷属となった精霊と対話かなんかしてるのか。真面目だ。
「すまないねぇ」
あれ、もしかしてハウロンが過労死寸前なのって俺のせい?
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