オッちゃん、驚異の天然ワザ…の巻。

オッちゃんが、外から電話をかけて来た。


「振り込みしたいんだけどさ〜どうしたらいい?」


そりゃ、振り込み用紙に書いて窓口に出せばいいだけのことなのだけど、

皆様ご存じのとおり、ATMで振り込んだ方が手数料が安い。


で、オッちゃんはキャッシュカードを持ってないけど現金をたんまり持ってるとのことだったので、ATMの「現金振り込み」を謹んでご紹介してさしあげた。


「おぅ、やってみる!」と決然と電話を切ったオッちゃん。


しばらくたって忘れたころに、オッちゃんがお化けでも見たかのような声で、また電話してきた。


「振り込みって、振り込み人の名前を入力するものじゃないのかい?」

「そりゃあ、そうですよ。どうしたんですか?」

「オレの名前、訊かれなかった……で、振り込み完了しちゃったんだよ〜」とオッちゃん。


そ、そんなバカな。。。


だいたい、そのようなものを入力しないことには、次の画面に進まないはず。


ひょっとして、実はキャッシュカードを持ってることに気づいて、カード振り込みにしたのでは? と、わたくし推理しました。


「もしかして、カードでやったんですか? だったら…」

「いやっ!! 手でやった!」

「手??」


・・・一瞬の間・・・


(そりゃあ、足ではやらないだろうけど)「手? って、何ですか?」


「ああ…違った、『現金』だった」

かなり、動揺してる様子のオッちゃん。


銀行業務歴の長い私もこういう話は初耳で、自分(振り込み人)の名前を入れずにいったいどうやって手続き完了させたのか、その荒技がいかなるものなのか、まったく思いつかない。名前の代わりに、振込金額でも入力したとか?


「控えの紙、出てきましたか? 相手の名前なんかも、ちゃんと間違いなく表示されてます?」

「…されてる」


私の頭の上には、たくさんの「?」マークがカチューシャ状に整列。

ここへきて私の守備範囲を完全に超えたので、「窓口の人に訊いてみてください」と、至極もっともな進言を繰り出すしかない。


「そうしてみる…」と力なく答え、電話を切ったオッちゃん。

私も知りたい、そのナゾ。


それにしても……そのあとフツフツと笑いがこみ上げて、止まらない。

」って、オッちゃん、大丈夫だろうか?


そして、無事にお戻りになったオッちゃんに真相を確かめると……


「振り込み人の入力のところで、受け取り相手の名前を入力してたんだよ〜」


や、やられた。。。


全然、思いつかないワザだった。


ってことは、控えの紙には、同じ名前が正しく2回並んでたのね。


ATM側から言うと大きく間違ってはいない(=不問にされる)けど、相手の受取人的には、事務的に面倒なことになった、って感じ?

まあ、電話で事情を説明して、受け入れてもらったみたいだけど。


オッちゃん、何から何までおもしろすぎる。。。

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