我輩は ボタンを持っている

我輩は ボタンを持っている

決して押すことのないボタンを


この椅子に座った時

それは我が手中に託された


望んで手にしたわけではない

そこには背負い切れない重みがある


この椅子を目指す時 

我輩にもいくつか理想があったが

欲望と野望に押しつぶされた


人の欲望は底がなく

人の野望は果てしない


欲望が欲望を呼び

甘い汁に野望が群がる


欲望と野望が我輩を太らせ

もはや肥大化を止められぬ


寄ってたかって煽られて

もはや そこには大義もない


我輩は 彼らの作ったハリボテ

そして この手にボタンだけがある

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