それは ある日そっと届く

それは ある日そっと届く

音もなく ゆるやかに舞い降りる


ふわりふわり そこここを

白くやさしく染めながら


私の袖にも あなたの襟にも

ふっととまって 小さくにじむ



それは 天から送られた手紙


先生は そうおっしゃいましたね


手紙はいろいろ形を変えて

空の様子を教えてくれると


子供の私は そんなことも知らず

ただただ無邪気に つかもうとしていた


大人の私は 手紙が来ても

ため息つくだけ 見もしなかった



いま空はどんな様子ですか


先生を知ってから 空が気になって

目を凝らして手紙を読みます


つつましい宝石のような 美しい造形に

秘められた 天空の言葉


手のひらで消えていく

はかない ひとひらの手紙を

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