『元SSSランクの最強暗殺者は再び無双する』
チョーカー
第1話 プロローグ あの時の最終決戦
周囲が黒い炎で包まれた中、二人の影だけはハッキリと揺れているのが見える。
1人は老人。――――魔族だ。
1人は若者。――――人間だ。
魔族は魔王軍の総帥である大魔王シナトラ。
人間は剣の勇者カムイ。
「ここまでだな、剣の勇者カムイよ」
3日間、不眠不休で続く魔王と勇者の戦い。
先に根を上げたのは勇者の方だった。
片膝を地面につけ、頭は俯いている。
大きく乱れた呼吸が原因で激しく肩が上下していたのだが――――
今は、その力すら残っていないのか、動きを止めていた。
魔王はカムイの首を絶とうと、手にした杖に魔力を込める。
だが――――
≪
魔力によって具現化された巨大な刃が魔王を襲う。
「ぬぐっ!? これはアサシンが使える唯一の魔法攻撃……奴が来たか!」
魔力を防御に移し、刃を防ぐ魔王。
対して勇者は目の光が再び宿る。
「……ベルトさん」と自分を救った兄貴分の名前を呟いた。
≪
魔王の影が大きく揺らめいたかと思った次の瞬間だ。
信じられない事に、その影から人が飛び出してきた。
≪
魔王の首筋に向って暗殺者の手刀が振るわれた。
「そこだ! 暗殺者風情めが!」
だが、寸前で振り向いた魔王は避けると同時にカウンター。
切れ味を付加させた杖で、暗殺者――――ベルト・グリムを薙ぎ払う。
噴水のように胴体から溢れ出る鮮血。それと共にベルトは地面に叩き落とされた。
「何度も邪魔しおって! 貴様さえ、貴様さえいなければ!」
魔王は怒りとともに杖に魔力を込める。しかし――――
「魔力が霧散していく……だと…? 体が動かぬ !貴様! 何をした?」
「へっ……≪
倒れたベルトの背後。立ち上がる者がいた。
剣の勇者 カムイだ。
彼が持つ聖剣は、眩い光を放つ。
それと同時に激しい軋み。刀身に亀裂が走る。
それは予告だ。聖剣崩壊と引き換えに最大の一撃を放つと言う予告。
そして―――― それは――――
放たれた。
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