10月

2020年10月05日 「メロンソーダ」


「あの人のいない日々はまるで炭酸の抜けたメロンソーダみたい」ストローで氷をカラカラ鳴らし、遠い目をして彼女は言う。「どうしてメロンソーダ?ソーダじゃダメなの?」「だって私、彼にメロンメロンなんだもん」




2020年10月13日 「子供は誰の子?」


「あいつは俺の子じゃないんだろう」『あなた何を言ってるの?あなたの子よ』「隣の奥さんと話してるの聞いたんだよ。変な名前の奴と浮気しやがって」『どういうこと?』「言ってたじゃないか、子供は風の子だって」




2020年10月19日 「足を洗う場所」


海水浴を終えた俺は「足洗い場はこちら」の矢印を追い、いつの間にか薄暗く狭い個室に迷い込んでいた。隣の個室に人の気配がしたので声をかける。「足を洗いたいんですが」『なら、罪の告白を』違う、そうじゃない。




2020年10月28日 「青酸カリ」


ぺろ。「む、これは青酸カリ!……か?」ぺろ。「たぶん、そうだと思うが」ぺろぺろ。「うーむ、そのはずだがなぁ、確証が持てない」ぺろぺろぺろ。「うっ、苦しい。やはりこれは青酸カリだった……ぐぐぐ」ばたり。

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