1月


2020年1月5日 「心の鉛筆」


小さい頃には鉛筆があった。大きな夢を描く心の鉛筆。大人になったいま、それは現実との摩擦でガリガリと削れ、いつの間にかこれっぽっちの小さな物になってしまった。無くなるのが怖くて、もう大きな夢を描けない。



2020年1月13日 「妹」


一緒に住んでいる妹はなにもしない。炊事・洗濯・掃除すべて僕がやっている。先日、喧嘩してつい殴ってしまってからは、更にひどくなった。起きもしない、動きもしない。呼吸すらしなくなったのだから困ったものだ。



2020年1月20日 「スプーンまげ」


「スプーン曲げができるって?」「うん」僕はスプーンを頭に乗せた。「スプーン髷」冷たい空気が流れる。「わざわざ来て損した」そう言うと彼は去ってしまった。頭の上のスプーンが曲がっていることにも気づかずに。



2020年1月26日 「それは夢」


もしもこれが夢ならばずっと覚めないで見続けたい。人生の中から幸せだけを抽出したような、繋がりのない断片的なシーンを繰り返してそう思った。もし夢ならば……。風が吹き、草原が揺れた。一匹の蝶が羽ばたいた。

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