我らの交換生活!
@yumepiano
プロローグ
はあっ、はあっ。
暗いトンネルの中に、自分の息とヒールの音だけがこだまする。
(速く逃げなくては、速く・・・)
あっと思ったつかの間、フランシスカは足がもつれて倒れこんだ。長いドレスの裾が足に引っかかったようだ。ランプがからんからんと音を立てて冷たい床に転がる。
「っつ・・・」
唇をかんで立ち上がる。
つんとする嫌なにおいがトンネルには充満していて、フランシスカは顔をしかめた。でも、止まるわけにはいかない。
ドレスの裾を持ち上げ、再びランプをもって走り出す。
しばらくすると、いきなり土の壁が現れた。ひやりと汗が背中をつたう。
あたりを見回すと、壁には古びた金属製のはしごがついていた。上を見ると、はるか先にうっすらと取っ手のようなものが見える。
一瞬のためらいのあと、フランシスカは手を伸ばした。落ちないように、落ちないように・・・。
ようやく天井までたどり着いた。取っ手をつかんで上に押すが、押しても押してもふたは開かない。
逆に引っ張ってみると、ふたがくるりと回転した。ぎしぎしと上がっていくふたに慌てる。
外の太陽の光がこぼれてきて、フランシスカは眩しそうに目を細めた。
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