第37話

「あの、お世話ってどういう…?」


玄関で立ちっぱなしなのも申し訳ないのでとりあえずあがってもらった。

紅茶でも入れようかと思ったら怒られました……


「そのままの意味だよ?絶対安静期間はわたしが水面くんの家に泊まって

 身の回りのお世話をします!」

「いやいやいや、普通に考えたらダメでしょ!年頃の男女が同じ屋根の下で二週間も一緒なんて」

「お父さんとお母さんの許可はもらいました!」


ちょっと!赤井さんのお父さんとお母さん!


「ということであとは水面くん次第だよ?」


「正直、嬉しい。買い物に行くのだって大変だし。でもそれとこれとは話しが…」

「水面くん、遠慮しなくていいんだよ?わたしがお世話してあげたいの」

「う、うーん、わかった。それじゃあお願いするね?一応部屋は余ってるからそこ使って」

「やった~!それじゃ、二週間お願いしますね!あ・な・た♪」


ドキッとした。だってすっごく嬉しそうな顔をした赤井さんはとんでもなくかわいかったから。

だから、僕は言葉も失ってただ赤井さんを見つめていた。


「あ、あの!なんか反応してくれないとめちゃくちゃ恥ずかしいんだけど!」

「え?ああいや、こちらこそよろしくね。赤井さん」

「それじゃあ夕飯作っちゃうね~!」


赤井さんはかばんの中から食材を取り出した。


「あ、そういえばこんなことになると思ってなかったし、さっき先生に買い物お願いして結構あるんだよね…」

「え、そうなの?でも二人分だし大丈夫だよ!キッチン使わせてもらうね!」


そういえば聞いたこと無いけど赤井さんの料理スキルって……


『ねえ、赤井さんって家事スキルどのくらいある?』

『あんたがあたしに個人メッセージなんてめずらしいわね。とか思ったら紅葉ちゃんの話ね…

 ということは紅葉ちゃんはあんたの家にいるってわけね』

『うん。今料理してる』

『それで聞いてきたのね。でも、安心しなさい!あの子はどこに出しても恥ずかしくないくらい家事スキル高いわよ!』


赤崎さんにそこまで言わせるほどか。


『ま、楽しみにしておくことね。そ・れ・よ・り!

 林檎ちゃんがわざわざあんたの家に泊まり込みで行くってどういうことか流石に分かるわよね!』

『たぶん、そういうこと、なんだよね』

『たぶんじゃなくてそういうことよ!あんたがどういう気持ち持ってんのかは知らないけど、

 普段の様子からじゃあたしよりは紅葉ちゃんのが好きでしょ』

『二人をそういうふうに比べたこと無いんだけど』

『はぁ~、今はあたしのこと気にしてんじゃないわよ!好きか、そうじゃないか!それだけよ。

 じゃ、紅葉ちゃんに見つかる前に終わりにしとくわ。あ、そのうち和田も連れてお見舞い行くわね!』

『うん。ありがと』


赤崎さんとのやりとりで赤井さんはメシマズではないことがわかって安心した。

それにしても、そういうこと、か。僕も向き合わないといけないのかもな。


「水面く~ん、調味料とかどこにあるの~?あ、立たなくていいから教えて!」

「キッチンの上の棚開ければそこにあるよ!」

「あ、ほんとだ!」


なんか、こういうのも悪くないな。

これから二週間、楽しくなりそうだ。

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