ツァーリ・ナタリア!

らべる

『守護天使』のあらすじ




 –––––––私は自分で何かを決める意思が弱いし、行動することもできない・・・でも、それでも!まずは、そんな弱い自分ば変えたかとです。私は絶対、絶対ぜったい、自分自身には負けよごたなか。そして私たちんこと田舎者呼ばわりするようなロシア人には、絶対に負けよごたなかんばい!!–––––––




 1984年。

 ソビエト連邦ウクライナ共和国の西部にある小さな町ムィコラーイウに住むナタリア・リヴォフスカヤは、ソ連を愛する純粋で少し臆病な少女。


 当時世界は鉄のカーテンを挟んで東西に分かれており、東側にあるソ連では違法であった西側の音楽をラジオで聴くのが密かな楽しみだった音楽が大好きな彼女のもとに、ある日突然首都モスクワから共産党の委員ミハイル・トカレーヴィチが現れ、彼女に聞き馴染みのない言葉を告げた。


「ソ連を変えるアイドルにならないか」


ソビエト経済はブレジネフ政権の時から停滞を迎えていた。

ソ連の経済を立て直し、ふたたびソ連を偉大にするために西側文化を部分的にでも受け入れたいという彼の強い想いに心を突き動かされたナタリアだったが、優柔不断で臆病な彼女は、歌う仕事もモスクワに行きたいという憧れも強く持っていたにも関わらず、その申し出を一度は断ってしまう。


 しかし人生で初めて歌うことになった英語の曲のメロディーを思い出すたびに彼女は押し寄せてくる様々な音楽を歌いたいという欲望には抗うことができず、とうとう兄アレクセイの反対を押し切る形で申し出を受ける決意を固め、翌朝、ミハイルと出会った学校に向かう。

 

 ところが、その場所で彼女を待っていたのは中央委員ミハイルではなく、KGBの職員であった。

 ナタリアは一転して国家反逆罪の容疑をかけられKGBに追われる身となり、訳も分からぬままソ連中央政府における改革派と保守派の闘争に巻き込まれていく・・・。

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