おっさんテイマーがサモナージョブチェンジで魅力ステータス最大もふもふ獣耳美少女に性転換!聖女ヒーラー/魔法剣士/吸血幼女とスローライフでほのぼののんびり宿屋営業中に溺愛求婚されそう

ひなの ねね

ジョブチェンジの儀式

SSSテイマーな俺とSSSサマナーな俺

「今からジョブチェンジの儀を執り行う」


 フルフルと震えた声で、年老いたお婆さん神官が湖の上に俺を立たせる。


 俺はこれまで世間でもSSS級テイマーとして活躍していたが、この魔術革命時代に於いてテイマーの仕事はすっかりなくなっていた。


「これが証明書だ」


 野太い声と野太い腕、野生を感じさせる髭とわしゃわしゃの髪の毛。湖に映る俺はいつ見ても、最高にワイルドなテイマーだった。頭の上に被った熊フードなんて最高だろう?


 婆さんはしっかりとそれを読むと、「聞いたことないジョブだねえ」なんて小さく呟きながら、まあいいかともごもごと唱え始める。


 それもそのはず、このジョブ証書は今流行りの魔術研究者から高値で買い取ったものだ。これからの時代は魔術を知らなければ生きていけない。


 口車に乗せられたわけじゃないが、テイマーというだけでパーティーを追放され、まるで世界から蔑まれた一匹狼のようだった俺は、この職業に未来を見出したのだ。


 婆さんは地面に何十にも書かれた術式を一つ一つ杖で突いて、起動していく。


 俺が選んだ職業はサモナー。


 魔術は魔術でも、召喚魔術という、魔術の中でもレア中のレアなスキルを持つ職業である。


 サモナーにさえなれば、俺はまた世界を旅し、多くの人と触れ合い、困っている人の手伝いができるだろう。


 テイマーというだけで「あ、テイマーなんですか、えっとそこまで悩み事ないので……」なんて微妙な顔とはおさらばだ。


 湖の水は徐々に揺れだし、地面に書かれた術式は外側から内側に次々解放されていく。


「行くぞ、若いのよ!」


「おう、いつでもきやがれ!」


 ありがとうテイマー。


 俺がこの異世界に召喚されて一年。ずっと俺を守ってくれて——。


「真贋幹也、新たなる道を歩むがよい、ジョブはケモナーじゃ!!!」


 これからよろしくな、ケモナー。


 俺は一から魔術を勉強し、しっかりとした召喚魔術を——え?


「ケ、ケモナー!?」


 途端地面の水はぼこぼこと膨れだし、薄緑色の光を放出していた術式も真っ赤に変化する。俺の全身を光が包みだし、目の前で婆さんが「あ、読み間違えてしもたわ」という声が最後に聞こえた。


 気が付くと、やけに視界が低い。


 俺の身長は二メートル丁度で、肩幅もゴリラと言われるほどだ。が、今は子供の時のように視界が低い。


 立ち上がろうとすると、身体は軽いがなんだか力がなくて心もとない。


「ど、どうしたんだ?」


 手を見ると真っ白ですべすべの子供の手、あんなに鍛えられた胸筋は、今や何もないまな板も同然。


 そして、ある物がない。


 そう、股間にぶら下がっているものが。


「ない!」


 ど、どういうことだ、頭を抱えるとくハントした熊の帽子よりも、もふもふな耳の存在に気が付く。


 体のバランスがとりにくいと思ってケツを触ると、そこには狐のような尻尾がびてい骨から生えている。


 あまりのショックに崩れ落ちたとき、湖に映った姿が目に入った。


 そこには、大きな紅い目と整った高い鼻。ゆるふわロングのクリーム色の髪。


 可愛い系一〇〇〇パーセントのケモミミ(狐)美幼女になった俺が映し出されていた。




 ——そう、これは筋肉を失い、美幼女となった真贋幹也の最初の記憶。

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