SSSのじゃ吸血幼女と第二のサイコパス
「我の城の前でネギを焼くのは何処の奴らか」
ゴシックロリータ吸血鬼はすっと地面に着地し、日光に焼けないように大きな傘を差している。
立ち振る舞い、宙に浮いていた雰囲気、間違いなく俺たちでかなう相手ではない。かなったとしても、それなりに怪我は負いそうだ。
「今出てくれば、謝り方によっては許してやらんこともない」
俺とエリィはアイコンタクトを取り、同時に酔っぱらっている相沢さんの背中を押した。
「「この人です」」
「ふえ——ちょ、ちょっとミキネちゃん、エリィちゃん!?」
「シスターか。シスターが吸血鬼に戦いを挑むとは世も末じゃな」
掌で優雅に口元を拭う吸血幼女。今頃相沢さんの血の味でもイメージしてるんだろ。
「い、挑んでないです。丁度ネギが焼きやすかったので——ちょっとミキネちゃん、助けてよ、ウケる感じすらない、あのこ目がマジだよ! マジでやる気だよ!」
そりゃそうだ。自分の敷地内を一日で綺麗にされたのだから。
綺麗にされたのが悪いんじゃなくて、自分の敷地内で自由にされたことに腹が立っているのだろう。
「待て、シスターたちに手を出すな!」
吸血鬼城側から声をかけてきた青年は、銀色の鎧に身を包んだ好青年である。腰には「ザ・強そうな装飾の片手剣」みたいなものを装備している。
「もう貴様しかおらんぞ、聖剣見習いよ。これ以上無益な争いをする出ない」
「くっ——だが僕は仲間の意思を継ぎ、この剣に掛けて吸血鬼を撃つと誓った!」
ごぅと背中にの焔が見えて、彼は片手剣を抜く。顔に斜めに走っている火傷の跡がちょっとかっこいい。
「暑苦しい方ですね」
遠目に見ながら俺は自然と声を漏らす。九十年代主人公タイプだよな。
「あれは——ジャックさんですね」
「ジャックさん?」
俺の隣でエリィがじっと彼を見る。
ジャックと呼ばれた彼は、剣で吸血鬼に何度も攻撃を入れるが、それは全てう優雅に回避されている。
「はい、隙があれば私が歩いている隙に——」
『おおっと滑ったあああああああああああああああああああああああ!』
「といって、し、したぎを、のぞこうと、したり。この前は、」
『ここは危険だ、下がってください!』
「と、手をかざした隙に私の胸に、ぐ、偶然を装いながら触れてきたり……挙句の果てには、私を庇うふりして押し倒したとき、」
『はあはあ、だ、だいじょうぶ、な、なんだな。い、良い匂いなんだなあ』
そいつキャラ変わってねーか?
相沢さんのところの領主といい、あのジャックといい、なんでこのあたりの男は恋かエロが最優先なんだ? 思春期真っ盛りの年頃かよ!
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