ライトとレフトの境界線

シャオえる

第1話境界線の瞬間

 暗い森の中、がさがさと音をたて黒い影が駆け抜けていく少年と少女

 黒服に頭にフードを被り、何かから逃げているのか後ろを気にしている

「今の時間は?」

「あと5分で12時、午前レフトの時間になる」


「くそっ、どこ行ったー!」


 二人の後ろから、大声を上げながら追いかけてくる人影が二つ


「隠れて!」

 声に気づき慌てる黒のフードの二人

急いで草むらの中に入っていく

 その近くを少年とぬいぐるみを持った少女が二人やって来た


「どこ行った!午後ライトのやろう!」

 意気揚々と、現れた少し髪の毛がツンツンと立っている少年

「ねー、帰ろうよー。眠い……」

 少しぼろぼろのウサギのぬいぐるみを抱いている少女

「うっせー、どこの誰かは知らねーけど午後ライトの奴なら倒さなきゃなんねー!」

 少年は、がさがさと草むらをつき歩いていく

「あの人たち、悪い人なの?」

 その様子を後ろをついていくぬいぐるみの少女

「さぁな?でも、倒す!」


 その様子を近くの草むらで、隠れながら見ている黒のフードの二人

「どうしよう……」

 ぎゅっと男の子のフードを掴む女の子

「今、時間は?」

 手を前に出し時間を込める女の子

だか、何も起こらない

「12時なった……」


 同じ頃、ツンツン頭の少年の手から、バチバチと音が聞こえてくる

 音をそれを確認すると、顔がにやける少年

「やった!12時なった!さあ、どこにいる!!」

 テンション高く、突き進むツンツン頭の少年

「うるさいよ……」

 テンション低く、うとうとしているぬいぐるみの少女

「あんだと?」


「そうそう、うるさいですよ。そこの#午前__レフト__#のお兄さん」

 四人とは違う、男の人の声が聞こえてきた

「誰だよ!」

 ツンツン頭の少年が、大声で叫ぶ

その真上からふわりと一人の男性が降りてきた

「それに、そこに隠れている二人も出てきてください。大丈夫です」


「だから、お前誰だよ!」

 男性の方に歩いてく少年

「まぁ、落ち着いて」

 騒ぎうるさい少年と、側にいる少女に男性が手を広げる

 フォンと音がなるとピタリと二人の体が動けなくなった


「はい、これで手出しできないね」

 ニコニコと笑顔で、うるさかった二人に話しかけた後

「かくれんぼさん、出ておいで」

 今度は黒のフードの二人の方に向かい声をかける

しばらくすると、がさがさと黒のフードの少年少女の二人が出てきた


「うーん、見たところ午後ライトの人かな?こんな時間にどうしたんだね?」


 少年の服をぎゅっと、掴む少女

少年は、フードを取ると、男性の方に話しかける

「……人を探しています」


「誰?」


「アザル・ライムという男性です」


「ほう……」


「お前ら!なんなんだよ!離せ!離せ!」


 ぎゃあぎゃあと叫ぶツンツン頭の少年

離せといっているが、誰も触っていない


 そんなツンツン頭の少年を、ニコニコ笑い見ている男性

 そんな男性の後ろから数名の兵隊らしき人が現れた

「失礼、私は境界線本部総隊長カノン・メルザです。君達全員、境界線本部に来てもらいます」


「えっ?」


 カノンは、またニコっと笑う

「強制連行です」

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