パラレルワールドの、僕と僕

シャオえる

第1話後悔なんてない

「スカイ!右に行った!早く!」

 町中を駆け抜け、右へ左へと大きな龍を追いかけていく男女二人

 龍を捕まえるため、距離を近づけていくスカイと呼ばれる男の子

だが、寸での所で逃げられる

「ヤバイ!」

 龍は街角を曲がり、二人からどんどん離れていく

「あっち行った!」

 女の子の声と同時にビービーと音が鳴る


ー終了ですー


 機械の声と共に、町と龍が消えていく

二人は大きなグラウンドの真ん中で、疲れた様子で息をからしている


「今日の実習は終わりです、お疲れさま」

 女性の先生が、二人の元へメモを取りながら、近づいてくる

「んー。お二人さん、もう少し頑張りましょうねー」

 ニコニコ顔の先生に言われて、へこむ二人

「はい。すみません…」


 授業を終えて、廊下を歩く二人

女の子の前を、ムスッとした顔で、歩いているスカイ心配そうに女の子が話しかける


「ねーねー、最近態度わるーい」


「…そうか?」


「つまんない。恐いし、なんか嫌」


「うるさいな」


 スカイの足が突然止まった

後ろを歩いていた女の子、勢い止まらずスカイの背中にぶつかってしまう


「痛いんですけど!」


「なぁ…ミク」


「もし、時間が戻るならいつ戻る?」


「なに?急に?」


 スカイの前に出て、顔をみるミク

何か思ったのかにやけ顔で、スカイをみる


「もしかして、昨日めっちゃ怒られたの気にしてるの?」


 ミクの質問に答えれずムスッとした顔のスカイ

そんなスカイをミクは笑う


「バカだねー。あんなの気にしちゃ生きてけないよ。たかだか火の魔法の出力間違えて、山一個消しかけたなんてさ」


「あんなの…」


 ミクはスカイへ、スススと近寄り耳元で、ぽそっと呟く

「うちの担任なんて、町一個消しかけたらしいよ?」

 ミクはニヤニヤとした顔で伝える

「マジ?」


「そこの二人…」

 女性教師が、二人の後ろに怒った顔で立っている

「げっ、ベルナ先生…」

 ヤバイという表情の二人

「喋ってないで、さっさと次の授業の準備しなさい!」

 

「はいぃ!!」

 怒鳴り声が響き、廊下にいる人達がみんな見つめる中、ドタバタと走ってくスカイとミク


「ミクのせいだかんな!」


「そんなん知らないよ!!」

 ギャアギャアと喧嘩しつつ、教室へ走っていくミクとスカイ


 僕、スカイ・モグム15才、悩んでいます

これからの未来と昔の事

ありきたりな不安、後悔、夢、希望

 それを打ち消すために、この場所、世界一の魔術学校に来た

けど、これで良かったのか、本当はダメだったんじゃないか

最近、そう思っています


「ねぇ、スカイ」

 ミクが、話しかけてきた

「なんだよ?」


「私は、後悔なんてない。だから戻りたい時なんてないよ」

 ミクはスカイを見てニコッと笑う

「だって、今この時が楽しすぎるから、戻ったら無くなっちゃうかもしれないでしょ?」

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